「おはよう」

最初の外国語は、近所に住む朝鮮半島出身の2家族が話す朝鮮語だったが、チンプンカンプン。次は、中学で習った英語だった。英語には大変お世話になった。今でも少々役立っている。
●「おはよう」 2013/06/01

全ての言語間に溝があるが、日本語と英語には特に深い溝がある。この溝が我々日本人にはヨーロッパ系言語の習得に困難をきたしている。例えば、「おはよう」は英語では"Good morning"であるが、なぜ「おはよう」が"good morning"になるかの論理的な相関は無い。つまり、いくら研究しても、ヨーロッパと日本とは遠すぎてその相関にかかわる根源的証明は無理だろう。そういうことから、我々日本人にはヨーロッパ系言語の習得は大変困難が伴う。特に、理屈で考える人、典型的な理系の人には困難が伴う。ところが、理屈ぬきで、単純に受け入れる人には何の困難も無い。つまりバイリンガルと呼ばれる人達で、彼らはそれを幼児期から家庭生活などでごく自然に覚えているからだ。つまり、なぜ「おはよう」というの、それがなぜ"good mornig"というのなどと考えたことがなく、もしそう考えていたらバイリンガルにはなれないだろう!

これまでの付き合いや仕事で、私は4人のバイリンガルを知っている。その内3人は友人(*1)の息子達で全員ハワイ大学出身、私からすれば、驚愕すべき日本語を喋る!彼らは幼児期からハワイで日本語学校にも通っており、読み書きもあるレベルには達している。それぞれが米国で医者、執事、エンジニアとなっている。4人目は御両親が日本人のデューク大学出身の女性(*2)で富士通のキャリアとして働いていた。彼女は私が所属する事業部にいて、直接の部下でもない彼女に「おねが〜い」と米国ベンチャーとのやり取りを添削してもらっていた。日本人の英語の問題点をきちんと分かっていて、私のJanglishを格調高いEnglishに添削してくれるのだ。私の知る限りバイリンガルとしての強みは彼女だけが使っていた。それも十年以上前の話なので、現在彼女がどこで何をしているかは知らない。
 *1:夫婦ともに日本生まれの日本人。旦那は大学教授、奥さんはパンナムのスチュアーデスだった。
 *2:彼女は富士通が最初に実施したTOEICで満点だったそうだ。アイビーリーグ出身の文系ならば満点でもおかしくない。なおそれよりかなり前になるが子会社に勤めていたとき、同僚のアメリカ人女性がTOEICを受けたところ満点ではなかったと聞いた。米国人でも、誰でもが満点ではないようだ!
 追記:2017/10/11 説明不足で脈絡が続かない点を追記

さて、言語の習得と個人的な能力とは殆ど相関が無いというのが私の見解である。例えば、アメリカ人の父親と日本人の母親を持っ子供であれば、程度の差こそあれ否が応でも彼らはバイリンガルになるのだ。ただし、"話す"という日常会話レベルのバイリンガルであって、専門用語も理解できてそれを読む書くというのはスクーリングが必需だ。上記の4人は、そのスクーリングも高いレベルで受けており、日本だろうが、米国だろうが間違いなく生きていけるように"心配性の親"が仕込んだと思われる!いずれにせよ子供は本能的に親の期待を、特に異郷にあっては実現するように動くようで、彼らは立派に親の願望を達成していた。

今の日本は昭和の初期に似て、デフレが続き経済の停滞と人々の行き詰まり感が顕著である。当時と同様に、我が国は狭く人が多いという課題も踏まえて再び海外に移民するという選択肢が出てきてもおかしくない。工夫次第で云々というのは政治家の詭弁で、若い人は覚悟して国外に出て行くということもあってよい。世界のこんな辺境地帯で日本人が頑張っているというテレビ番組があるが、日本国の再生を託し大勢の若者が彼らの後追いすることも意義があろう。但し、残念なことに私も含めて年寄りはおとなしく老後を送るしかないが!嗚呼出るのはため息ばかりなり。
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