農業の将来を憂う(規制を解くべし)

我が国の農業の未来は明るい。但し、あらゆる規制が解除されればの前提ですが。

追記:2013/12/16

今日の日経「らいふプラス」は、コメの減反、なぜ廃止?とのことで、減反政策廃止について様々な疑問に答えています。

追記:2014/2/11

コメを輸出すること。即ち、世界の自由競争に乗り出すことが、我々日本人に出来ないわけがありません。逆に、そうしなければ農業の将来は無いでしょう。

追記:2014/3/8

タイのコメ買い取り破綻で考えさせられることは、我が国の減反制度など米作に係わる多くの施策です。人気取り政策撤廃を先送りすることが、事態を悪化させる典型例でしょう。同様に、我が国の米作政策はとうの昔に破綻していると思いますが。

追記:2014/4/9

農協が諸悪の根源となった現状を悔やみ、農家をあらゆるしがらみから開放することを望みます。全ての縛りを開放し、優良農家や農業株式会社を育成することを希望します。

追記:2014/06/12

日経朝刊の試論・農業改革(上中下)の記事は大変興味を持って読みました。妻の実家の田圃は三反しかありませんが、実はどうすることもできません。売ろうにも二束三文、逆に二束三文で買い足そうとすると売る人はないのです。土地の持つ生産力(価値)と実勢価格の乖離が大規模農家の育成を妨げている原因であり、その真因は農地法や農協法などの法律や規制だと思います。

追記:2014/06/29

農地改革が求まれますが、農協と族議員に阻まれています。この図式が、あるとき突然崩れれば、ベルリンの壁崩壊のようなことになるでしょう。たまたま当家には近所の農家に無料で貸している小さい田んぼがあるので何か面白いことを始めようかとも考えています。

もし米よりも儲かる水田の使い方に関してアイディアがございましたら電話なりメールなりお願いします。勿論御投資も歓迎です。

追記: 2014/08/31

米政策の改革が求められています。はるか大昔の八郎潟の農家の反逆などが思い返されます。いつの時代も、よらば大樹では少々風向きが変わったとたんに全員であの世ともなりかねません。

追記:2015/02/10

改革はいつになるかと散々書き込んできた農協問題ですが、安倍政権の決断で実施されることになりました。私には大変喜ばしいことだと思います。日本人の保守性と圧力団体化が悪い方向に進むと、破滅的状況になるまで方向転換できない顕著な例として歴史に残るでしょう。日本の農業の今後ですが、多くの優良農家や企業が現れ、様々な農産物が輸出される時代が来るでしょう。

追記:2015/02/19

改革が決まったことで、私のぼやきも少なくなるとは思いますが、我が国の農業改革は、第二の農地解放が最後の仕上げでしょう。はてさていつのことやら!

追記:2015/03/01

なんとなく読んでいた本ですが、全く同様の意見が出ていたので転記しました。当事者である農家は手なづけられ蚊帳の外に追いやられていたのでしょうか?

追記:2015/11/19

TPPへの参加が決まったことで、今後の農業は激変すると思います。個人的には我が家の3反の行方が楽しみです。ただ、私にはもう農業は無理ですが、コンピュータとネットワークを活用した新しい農業を考えることだけでも楽しい瞬間です。

追記:2015/11/20

TPP締結は我が国の農業に関する直近の最大のイベントでしたが、最後はやはり農地法の改正でしょう。これに縛られていたのでは、農民はいつまでも世界に羽ばたけないと思います。ただ農家には、これまで同様のやり方でなく創意工夫が求められるでしょう。

追記:2015/11/23

今日の経済教室は、酪農でした。正直なところ私には全く酪農に対する造詣はありません。分からないことだらけでしたが、とりあえず読みました!

追記:2016/1/23

私の読書感想文のネタが少々古いのは、立花隆の「ぼくはこんな本を読んできた」を参考に本を選んでいるからです。新刊書を無鉄砲に読む余裕も、本の値打ちをさっと見分ける能力も私にはありませんから。

追記:2016/12/1

農協改革は3反の田圃を保有する我が家も決して他人事ではありません。優秀な農家が出現し、世界の農業を牽引するようになることを望みます。

追記:2016/12/05

社説は新聞社の基本理念に基づいて書かれていると思います。東京新聞は具体的な改善手法まで記載されていたので驚きました。

追記:2017/6/20

いよいよ改革が始まりました。これからの農業が楽しみです。

●農業の将来を憂う(規制を解くべし) 2013/3/16

かつて我が国では90%の人が農耕に従事し、100%の農作物を作っていたが、現在では260万人、1億3千万の全国民の2%の農民が生産をしているに過ぎない。この2%の実に160万人が65歳以上である。つまり事実上全人口のほぼ1%、100万人の農業専従者しか活動してないと言っても過言ではない。そもそも65歳は年金の支給が始まる引退の年齢であり、一般論として加齢に伴い生産性は落ちるからだ。なお、最も重要な指数の食料自給率は39%で、先進国最低とのこと。万一戦争なり、経済封鎖なりが起きても国民が飢餓に苦しむことのなきよう、せめて先進国標準レベルに向上させるべきである。

わが国は、水が豊かで夏場は高温多湿という米作には理想的な気象条件を持ち、さらに国民性とも言える勤勉な農民が国家の食料生産体制を支えてきた。ところが、戦後数十年を経て工業化が進み農業の衰退が加速されたことは衆目の知るところだ。それでは、今後の展望はあるのか?農業に関するあらゆる道具は機械化され、農薬などの改良も進んだが、未だに明るい未来が見えない。原因は終戦直後にマッカーサーに押し付けられた農地分断政策を後生大事にお守りしてきた制度疲労、さらにそれに巣食う団体や議員が衰退を後押ししたのだ。

さて、食糧生産の要である農業は今も昔も国家戦略上の最も重要な要素だが、なぜこのようなことになってしまったのだろう。上記の制度疲労もあるが、諸外国の生産物が安いことと、国内の労働単価が高いこともあり、それを補償(高い輸入関税)する保護的な農業政策が第二の課題だ。つまり、農産物の輸出入に制限があるから、世界的な自由競争から取り残され、高い労働単価を逆手に取る効率化集約化が全く進んでない。三ちゃん農業と揶揄されて久しいが、全く改善できないのは制度の問題なのだ。米国では効率化・集約化・専業化が極限まで進み高い労働単価を凌駕し、自営農家と言えばお金持ちの代名詞ともなっている。かたや我が国では、既に述べたが、終戦直後の農地解放(*)以降基本的な農業政策は全く変わってなく、仮に私に資金があり農地を買って農業を大規模にやろうにも、法的な足かせがあってできない。つまり、終戦直後のマッカーサーの押し付け政策である農地解放以降無策のまま60年以上経ってしまったことを、我々特に農民は自分の頭で考えなければならない。
 *:終戦直後の農地解放は農民を農奴状態から解放したが、経済が安定した昭和40年代始めに第二次農地解放をすべきだった。後付のコメントは誰でも言えるが、今すぐでも遅くない、遅くなればなるほど事態は悪化する。優良農家の育成、食料増産、雇用確保の為に直ちにやるべし!

現在人口の2%に過ぎない農家だが、一刻も早く第二の農地解放をしなければ農業は衰退から抜け出せないだろう。つまり、農地売買の自由化により個人も企業も参入でき、生産物の品質や量を国内外の農家が競うことが肝要である。今や世界の共産国が全て崩壊したことを傍証とし、独占や規制で生産性や品質を高めることはありえず、むしろ衰退が進み、それが我が国の農業の実態だ。今後も制限的な農業政策が続くとすれば、自分が食べる美味しいもの作りなど特殊な付加価値に着目した参入はあるかも知れないが、これまで同様衰退の一途をたどることは誰が考えても明らかだ。早急に二つの自縛を解く、つまり"第二次農地解放(*)"と"輸出入自由化"を進め農業の明るい未来を目指すべきである。同時に、それが若者の雇用促進にも繋がろう。
 *:私の造語だが、これにより大規模農家や農業会社が出現し、農協や族議員は衰退するだろう。
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追記:今日の日経"コメの減反、なぜ廃止?"より 2013/12/16

減反廃止により米価が下がり、おいしいコメの種類が増えるだろうとのこと。記事中のグラフは1969年をピークに半減した現在の作付け面積を表示。人口が減ったわけでなく、逆に増えたのに!現在平均収穫量は10アール当たり500キログラムだが、減反前は1トンを超す農家もあったそうだ。減反政策がこのような優良農家の息の根を止めてしまったのだ。1970年に"減反政策"でなく"増産政策"をとり、輸出を奨励していれば今頃世界中に和食文化と共に主要輸出作物となっていただろう。自由競争の下では優良農家が生き残ることが経済学の常識。マルクス主義的な農業政策を長く続け、農家を騙し生き血を吸い続けてきた政治家や農業団体に猛省を促す。

追記:日経の経済欄より 2014/2/11

回転ずしのカッパ寿司社長の藤尾益雄氏は「人口減少と高齢化を考えればコメ消費を増やすことは難しい。・・・」とのこと。この対策は、輸出促進と主張する。「・・・日本の生産量は800万トンで、世界の2%にすぎない。国内の生産コストを下げ、海外に販路を広げれば足元で持て余した30万トンくらいすぐにさばける」との見解だ。コメ輸出も手がける藤尾氏が述べることだから、素人の私の意見とは重みが全く異なる。早々に規制解除を進め、世界の自由競争の中で戦える農家が育って欲しい。

追記:タイのコメ買い取り破綻は他人事でない 2014/3/8

今朝の日経は、"タイのコメ買い取り破綻"についてタイのコメ輸出協会名誉会長のインタビューを基に問題を記載している。結論として、現政策を今すぐ止めても在庫などが正常に戻るには4,5年かかるとのこと。コメは何年も在庫として置けない。一年経てば古米だ。新米と古米は食べ比べればその味の違いが誰にでもわかる。"タイのコメ買い取り破綻"は政権の人気取り政策が如何に高くつくかを示している。我が国も似たような課題を抱え、コメ生産に係わる愚策で農家が疲弊し有事の食料戦略にも問題があることを政治家・役人・農業団体に問いたい。

追記:農業共同組合法 2014/4/9

今朝の日経"農業協同組合法"に農協の設立などの経緯、その法律などを記載している。この法律は、なんと私が生まれる前年1947年に制定されたとのこと。小学生が考えても、現状に適合しないことは明らかだ。農協設立の目的は、"農家がまとまって活動することで農産物を有利に販売したり、農機具を安く購入したりし、所得を確保する"とのことである。まるで私が小学生の頃社会科で習ったソ連のコルホーズだ。コルホーズもソホーズも全く機能しなかったことがとっくの昔に証明されている。各農家がそれぞれの強みを発揮して農産物を出荷し、農機具を購入したほうが安く手に入ることは明らかだ。つまり、出荷も購入も皆が同じ値段となると、競争がないソ連型社会になる。今や全ての共産主義国が崩壊したように農協を頂点とする農業は崩壊の危機にある。農協は即時解散するか、いち農業株式会社になりその会社に帰属するかどうかの選択を農民に委ねるべきである。

追記:試論・農地改革より 2014/06/12

日経朝刊の三部作"試論・農業改革(上中下)"について記載しておく。上編は慶応義塾大学教授の塩沢修平氏の意見、税制面で一律に優遇することを止めることで農地の流動化を促す策などを提案している。これらの提案は具体的で夢もあり読んでいて希望が湧いてくるが、勿論いずれの策も今後の法律の改正が前提である。なお、この記事には、"米欧アジア主要15カ国の農地の現状"とのグラフが掲載され、一戸あたりの耕作面積を示している。日本は2.2ヘクタールでシンガポールの2.9ヘクタールよりも狭く、15カ国中で最低だ!下水を浄化し上水を作っているあの島よりも狭いのだ!ちなみに中国は3.1ヘクタール、米国は169.2ヘクタールである。この数値は、いかに我が国の農業政策が無策だったかを示している。

中編は、宮城大学教授の川村保氏の意見、農協の問題について述べている。農協改革必至との意見、私と同様である。但し、私とは逆に川村氏は"中央会の廃止"や"全農の株式会社化"には反対している。最後に「…農産物の集荷や資材の共同購入などで共同組合に認められている独禁法上の適用除外措置をなくすことが、本当に農業振興や農業者の為に望ましいのか…」に私は賛成できない。ソ連ではソホーズやコルホーズが失敗したように共同という名のもとに効率化が阻害されるからだ。私が見る限り共同購入という名目の元に農民は肥料などを高く買わされている。様々な矛盾が農民を貧困に追い込んでいるが、その解決策の提案は無い。

下編は、明治学院大学教授神門善久氏の意見、私の読解力不足かも知れないが、寝言を聞いているような不思議な感覚に襲われた。まず、「…毎週のように農業視察に出かけ、各地で農地や水利の乱れに心を痛める…」と始まり、最後は「…我々の世代で土地利用の無秩序化が…土地行政の市民参加にこそ、活路を見出そう。」とのこと。そもそも農地は昭和22年に制定された法律に今も支配され、当の農民でさえも勝手に家を建てたり売ったりできなく、そこにどう一般市民が介入しょうというのだ?全国民に家庭菜園を普及させるなどのご冗談では?毎週視察に出かけているとのことだが一体どこに行って何をしているのか、そのレポートを見せていただき、今後の農業へのまともな提言をお聞きしたいものだ。まさかとは思うが、そこが一面に芝生が敷かれているところだとすれば、農地改革とは無縁では?これを読んで初めて学者よりも農業改革を求める政治家の方がまともと感じた。気のせいか?

追記:"農業改革で旧弊なくせ"より 2014/06/29

今日の日経"日曜に考える"には論説委員の志田富雄氏がなぜ農業改革が必要かをまとめている。既に言い古されたことだが、マスコミの使命として何度もかんども手を変え品を変え主張して欲しい。このカラムの最後に「失敗はあり、敗者も出るだろう。しかし、厳しい競争が新たな発想を生み、農業の魅力を増す。そこに若い人は集まる。」とある。実にその通りである。国際競争により我が国の産業が栄えてきたことは中学生でも知っている。農業には自由競争が無く、野心を持つ若者は去り残った老人の年金のような仕事になったのだ!我が国の全ての産業の中で、農業のみが似非共産主義社会に放置されていたとも言えよう。本当は競争こそが良い米や良いキュウリを作り、さらに人材までも作ろう。優秀な人材が、特に過去数十年医学部等に流れてしまったことは、日本国の損失であった。人命を脅かす病の根絶も重要だが、人命を維持する食料は最も重要だ。今からでも遅くはない、増え続ける人類に共通の課題である食料生産に人材を投入すべきだ。我が国は極東のオランダを目指すべきである。

一方、現時点でも我が国の農業は、中国や米国に負けようはずが無い。もし彼の国に我々が求める品質と量の米を安価に供給(*)できると言うならば、我が国の現農業制度を継続させようとする人はその根拠を示して欲しい。私が思うに中国産の米が我が国の十分の一の価格で買えようとも、実際に買う人は十人に一人もないだろう。それを踏まえた逆張りとして、日本人の勤勉・善良さらにコスト意識という資質を最大限に生かし農業で世界に打って出るべきだ。我が国の勤勉かつ優秀な農家はTPPなど蹴散らしてしまうだろう。戦後の我国の工業製品は公平公正な競争の下で世界を凌駕したことを踏まえて、我が国の農家は自分達の製品に自信を持つべきだ。実のところ私のビジネスターゲットを農業に変えようかとも思っている。
 *:数年前インドネシアのバリ島で自ら握りズシを友人に振舞うためスーパーで米を買ったことがある。バリのスーパーではインドネシア米とカリフォルニア米が売られ、輸入米であるカリフォルニア米の価格は私が日本で買う国産米とほぼ同価格で、最も高かった。もし関税障壁が無ければ日本米がカリフォルニア米同様バリで売られることになろう。

追記:"シリーズ検証、コメ、聖域は守れたのか"最終回で思うこと2014/08/31

"日曜に考える"というコラムで、日経は我が国のコメ政策の問題点を五回に渡ってまとめてきた。その結末は政府は過去50年ダラダラと個別品目の開放を小出しにし、農業を将来に渡って家業にしようという米農家の育成が出来なかったことが記述されている。農林官僚は何度か国際競争に乗り出そうと舵取りをしたそうだが、農家を食い物にする議員と組織に阻止されてきた。官僚が政治家に右往左往させられることはよくあるようだが、このケースは官僚と世間知らずの農民が政治家と農協に右往左往させられたということだ。少々手厳しい表現であるが!最後に、心の底から思う、農民よ目覚めよ。私も自身の判断で耕作できる手持ちの4反の田圃をどうにかしようと考え始めた。やってみれば何が問題かはっきりする。本気になってきたぞ。

追記:農協改革 2015/02/10

いつになるのかと思っていた、農協改革が実施されることになった。但し、2019年3月末のことだ!遅かりしとは言いたくないが、これほどまでに農家が疲弊するまで着手できなかったことがいかにも日本的だと思う。一億玉砕が決定的になり都市部が焼け野原になり原爆を落とされるまで決断できなかった先の戦争に似ていると思うのは私の勘違いだろうか?このまま進めば農家は減る一方で、多くの田畑が荒地になっただろう。これまで何のクレームも出さず、農協幹部や議員やお上のお達しに従ってきた多くの従順な農民にも責任がある。しかし、一部の農民は、絶望的な状況下で農協や当局に抵抗した歴史があることも忘れてはならない。これからの日本の農業は、優良農家と経営手法を身に着けた大規模農家と企業を中心に展開していくだろう。農家には是非とも極東のオランダを目指して頑張って欲しい。5年後には、中国に、いや世界中に農作物を輸出しているだろう。日本人の勤勉と正直というDNAを発揮し、今こそジャパンプレミアムという競争力を見せつけて欲しい。

追記:農業の明るい未来 2015/02/19

農協改革が決まった途端に、日経:経済教室の農業に関する内容が明るくなったと思う。今日は「農協改革、成長産業へ一歩」とあり、宮城大学名誉教授の大泉一貫氏は改革を評価し、今後の農業を予測している。大泉氏の意見は、地域農協の自主性に任せたいが、長く上意下達できた地域農協が独自の経営ができるのかと懸念している。別の懸念として、例えば、オランダと我が国のトマト栽培について比較し、殆ど全生産量が同じだが、生産者数は300戸対二万戸とのこと。この数値だけを見ても、如何に日本の農家が疲弊しているかが分かるだろう。一方、農産物全体の数値について、我が国の農家の販売額は8割弱が300万円未満で、5000万円以上は1%弱とのこと。つまり、所得倍増するには5000万円級の農家をあと3%(4万5千戸)だけ増やせばよいと指摘している。この数値を聞けば農家はパニックだろうが、兼業農家は7割強であり自由競争下では意外と速く専業化が進み、輸出専門農家も出現するかも知れない。地方の空港から北京や上海を目指して生鮮野菜や果物を満載した貨物定期便が飛ぶことも決して夢ではない。むしろ、そうならなければ日本の農業の将来の発展は無い。

追記:城繁幸氏の意見 2015/03/01

2009年刊行の本「たった1%の賃下げが99%を幸せにする:城繁幸著」を読んでいたところ、農業に関する意見が記述されていたので転載しておく。城氏とは、富士通でのあるプロジェクトですれ違ったことがあり、遠目に繁々と見つめられたことを覚えている。これは別途記述しよう。さて、城氏の意見だが、結論として「規制緩和をベースとする抜本的な構造改革以外にはありえない。」とのことであり、私や日経社説と同様である。氏の意見に説得力があるのは、実家に田圃があり、それを近所の専業農家に耕作委託していたが、今や空き地になっていることだ。

さらに引用すると、今の農業に具体的な将来のビジョンが描けないことが問題だという。「いま求められているのは、農業においても雇用においても、大胆な規制緩和を実施し既得権を打破することなのだ。それによって組織は活性化し、人も金も流れるべきところに流れるようになる。一度は瓦礫の山になるかもしれないが、そこには必ず"希望"が生まれるはずだ。」とあり、先の日経社説と全く同じである。さらに「失業給付だの所得保障だのといったセーフティネットに関する議論は、そこで行えばよい話であろう。」とのことだ。何年も前から多くの識者に語られてきた農業改革を見守ろう。

追記:TPPと日本の農業(上)より 2015/11/19

"コメ、収量向上へ減反廃止"とのテーマで岐阜大学教授荒幡克己氏が我が国の農業への提言を書いている。結論から言うと、稲作は減反を廃止し単収向上を図り、さらに稲作からの脱却をも図ることでリスク分散すべきとのこと。じっくりと読んだが、異論は全くない。内容には世界の農業の状況も記載されており、興味をそそられたものは以下のとおりである。

・米国はオーストラリアから大量の牛肉を輸入している。
 加工用の肉とのことで、コンビーフなどの原料だ。
・米を世界一効率良く生産している国はエジプトである。
 日射量が多い乾燥地帯が適地とのことだが、勿論砂漠でなくナイルの水を引き込める田圃だろう。なお、エジプト米の味はコシヒカリなどには比べようもないようだ。
・小規模な兼業農家よりも大規模な専業農家の方が、競争圧力に弱い。
 借地が多く、財務体質が弱いとのこと。勿論大規模だと、日照りなどの被害も大きくなることは自明だ。これに対する荒幡氏の意見は、専業に対象をしぼった支援などが必要とのこと。
・農業関係の指標の変化を表示しているが、チーズ、トマト、コメ、小麦、大豆と全ての値が1963年、1993年、現在と比較して悪化している。

私事だが、3反の水田を大規模農家に貸している。実態としては、香川県の農地バンクに委託し耕してもらっている。勿論、借地料などは無料だ。なにもせずに放っておいても草刈りなどが必要だし、その状態で何年も経つと土地が痩せるからだ。このような農地が全国で増えており、いわゆる三ちゃん農業の終焉である。さて、今後の農地だが、農業から撤退する人はXYZ農業株式会社に一反一株として土地を出資するような仕組みはどうだろうか?その会社に益が出れば配当があるということだ。

追記:TPPと日本の農業(中)より 2015/11/20

"投資拡大へ将来像明確に"との表題で、日経朝刊に東京大学教授中島康博氏が解説している。具体的な提言が無いので私が反応する事柄は無かったが、文中でTPPに関する情報として気づいた点をメモっておく。

・コメは米国およびオーストラリアに年間消費量の約1%の輸入枠を与える。
・政府の判断としては、短期的な影響は限定的。

中島氏の意見として「正確な影響予測、分析が重要であり、そうした検討に基づく明確な対策を示さなければ、今後の農業の方向性は定められない。…」である。最後の段落では、「…基本計画に従って一連の取り組みを強化し、国内の動揺を最小限に抑えながら、着実な経営継承、新規就農者の育成を図ることで、担い手の転換を進めて、農政改革を果たすべきだ。…」とあるが、一般論にすぎないのでは。私としては、農業経済学をベースに分析した結果として、TPPの良否や、今後の日本の農業に対する具体的な提言を聞きたかった。

追記:TPPと日本の農業(下)より 2015/11/23

"酪農、価格交渉力高めよ"との表題で、日本大学教授小林信一氏が解説している。ただ酪農に関する知識がゼロの私には難解であり、ほとんど理解できなかった。チーズ、バター、脱脂粉乳などを詳説するのだが、どうにもそのポイントが分からない。そういうレベルだが、少々気になった点を記述する。まず、我が国の昨今の数値は以下のように推移している。

・生乳は、860万トンから740万トン。
・酪農家戸数は、40万戸から1.8万戸。
・乳牛頭数は、132万頭から90万頭。

上記の数値を読むかぎり、集約化・効率化が進み酪農は良い方向に進んでいるとしか思えないが、実態として困難な状況は続いているとのこと。その原因は、飼料価格高騰や大規模法人経営者も小規模家族経営者と同様の補助金を受けていることなどがあるとのこと。私が高校の時に同級生だったO君はO大学農学部大学院を経て牧場を経営していたが現在はどうしているのだろうか?本解説の最後は氏の提言だが、日本の酪農家は欧米の酪農家のように大規模小売業者に対抗できるパワーを持てという。つまり、大規模量販店に対抗する価格設定権を得るために欧米やニュージーランドの酪農家を見習って巨大な生産者組合を作れとのこと。

追記:"官僚亡国論"を読んで 2016/1/23

屋山太郎(*1)著の書で、1995年発行のかなり古いものだ。15年以上も前に指摘されていて、未だに改善が進まないのが農業である。"第19章 農村とコメを壊滅させた農水役人"で様々な問題点が詳述されており、その多くは新聞からの情報などを頼りに私のエッセーに載せたがそれ以外のことで"エッ!"と思ったことを追記する。農業後継者の平均は78戸に一人(*2)だが、宮城県は158戸に一人、秋田県は183戸に一人とのこと。つまりコメどころほど後継者が少ないのだ。私は秋田県に学生時代に一度行ったことがある。秋田平野に入ったとたんに車窓からの景色は一面地平線まで田圃だった。四国の片田舎、半農半漁の村に育った私には後にも先にもあんなに広い田圃は見たことがなく、我が故郷の狭小な田圃では勝負にならないと思った。
 *1:テレビで舌鋒するどく解説する人だが、書いたものはさらに厳しい。
 *2:この異様な数値は、農家の疲弊を語っている。

上記の数値は、実は大規模農家がコメの自由化でもっとも打撃を受けるということ。つまり兼業農家で80%以上を農業収入以外に頼っている農家よりも、コメ一本の農家が打撃を受けるのだ。そういうこともあり、後継者難になっている。それに対して秋田県大潟村で15ヘクタールを耕作する黒瀬正氏は「…私達のような稲作一本で生計を賄っている専業農家がコメの解放で強烈な影響を受けるのです。このような状況の中で、私たちの仲間は"今度は非常に苦しいだろうが、一方でやりがいのある時代が開けるぞ"と闘志を燃やしています。…」とある。一方、補助金をもらっても、政治を動かし現状の権利を守っても、やりがいは無く、生産者、特に若者のほとんどは農村を去っていったと悔やむ。

さらに、農水省が32兆円を投資する基盤整備事業、つまり細分化された農地を集約して耕作しやすくすることだが、その一区画が30アール(*)とのこと。つまり一枚の田圃が広ければ広いほど効率が上がることは誰が考えてもわかるが、たった3反だという。恐らくこれは最大の区画単位で、我が田舎での区画整理では1反単位の田圃以外に見たことがない。なにしろ我が田舎では5反百姓とか水飲み百姓という言葉があって、狭い農地を苦労して耕した歴史があり、戦後の南米移民ブームの頃には部落から何人もが出国したり、北海道に移住した。
 *:約900坪

末端農家の実例だが、家内の実家には4反の田圃があり近所の農家に耕作を依頼していたが、今は香川県の農地バンクに預けている。ご近所で懇意のKさんは76歳の農業専従だが、一昨年までは親類の田圃も耕作していたとのこと。しかし、採算が取れなく昨年からは自分の田圃のみに縮小したそうだ。部落内をザット見渡したところ専従農家は数えるほどだ。専業農家も兼業農家も票は一票ということが農業改革を阻止し、結局は当の農家全てが疲弊したのだ。

農地バンクでは、兼業農家などの耕作できなくなった田圃を集め、特定の専業農家に耕作依頼する。結果的に農地が専業農家に集約されることになるが、今のところ預ける人が少ないと問題になっている。しかし土地税制が変わり農地売買が自由になれば農地バンクは不要となり優秀なコメ専業農家が出現するだろう。現状の制度では我々引退の世代の腰が立っているうちは土地確保の為少々損してでも農地を耕そうとするから、まだまだと言えよう。制度が変わらない限り、その息子や孫までそうなる可能性がある。心情的に少々コストがかかっても耕作地を確保したいのは、農家出身者の本音だから。

追記:今日の日経社説より 2016/12/1

今日の社説は、全農の変革を求めている。これだけ農家が疲弊し、将来の農業の見通しが全く立たない状況だが、長く議論され未だ見通しが立たないことは勝算ゼロで絶望的消滅に進んだ第二次大戦末期の特攻作戦を思い出す。このままだと多くの農家が消滅することになる。社説では農協の生まれ変わりが求められるが、農民自身も決断すべきだろう。つまり、農協や族議員がこれまで何をしてきて、現在どうなっているかを直視し、農民自身が今後の展開を考えるべきである。その結果として、我が国の勤勉な農民が世界的な農業競争に乗り出すこととなれば、決して他国に負けることはない。

追記:東京新聞の農協改革 2016/12/05

今日の東京新聞社説に農協改革について具体的な意見が記載されていたので転記する。農協の銀行機能がメガバンク並みだが、農家の疲弊が止まらず若者の農業離れも止まらないことを危惧している。さて、その対案だが「だれのための農協か」との表題で、農協は本筋の営農事業に、全農は販路開拓、マーケティングやPR、会計管理などの付帯機能で農家を支えることはどうかと提案している。農協も全農も原点に返れとのことだ。独禁法に縛られない全農は様々な特権に守られているが、当の農民は困窮するという、まるで共産国の為政者と農民の関係とも言えよう!

追記:農地9割 転用可能に 2017/6/20

今日の日経夕刊の見出しはこれだ!農業を守る、農家を守るとの標語で様々な規制があるが、これは根幹の一つと言えよう。記事によると、農地から商業施設や物流拠点などにとのことだが、多くは都市圏の話であろう。我が故郷を見れば、国道沿いの農地の多くは既に転用され何かの構造物が建っている。人口減が止まらない状況を考えると、これ以上農地を宅地や事業用に転換はないだろう。むしろ、人口減が続く地域では、宅地も農地も事業用土地も価値が下がり、農地が増えるかもしれない。そこでは多くの農地が専業農家に耕作されることになろう。それにより農作物の価格が下がることになる。数年後に、補助金や規制で優良農家を育てることは間違いだったことがはっきりとしよう。今後の専業農家の頑張りを期待する。我が国の食料自給率は4割を切っているのだ。
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