"シリコンバレー車大手が集結"より

既に自動車へのコンピュータの活用はエンジニアにはよく知られてますが、情報活用はまだまだです。これをビジンスチャンスと見る企業は御連絡をお願いします。

●"シリコンバレー車大手が集結"より 2015/05/12

日経朝刊によるとシリコンバレーにVW、現代、BMW、GM、フォード、ホンダ、トヨタ、ニッサン、デンソー、ベンツが研究拠点を増強しているとのこと。過去数十年半導体の進歩により車の制御系はますます電子化が進み、今後も発展するだろう。なぜなら、車に適用されている機械系の最適設計はほぼ数十年前に完成していると言っても過言ではないからだ。例えば、回転系にはボールベアリングが摩擦を減らす装置として使われており、その効率を向上するには鉄球の材料とオイルの改善が必要だが、現時点では事実上無理ともいえる程に完成されている。それほどに鉄球の真球率は高く、オイルの耐久率も限界に達しており、これに対抗する戦略は電子化しかないのだ。もっとも、究極の電子化、電気自動車は電池の性能向上状況を見れば射程距離に入ったと思う。ある日突然ガソリンスタンドがバタバタ閉鎖されることは決して絵空事でない。投資家には決して見逃すことのできない契機だが、そこは十二分に検討済みで皆さん日々チェックしているとは思うが!

上記のように自動車への電子技術の適用は着実に進んでおり、最新の車には百個以上のマイクロコンピュータが使われている。ただ、一般的な情報を活用するということでは、まだまだ進んでない。例えば、運転中この道路を進めば渋滞だからここで迂回せよとは、私のナビは喋らないのだ!ラジオでは渋滞情報が放送されるが、そもそも自分が走っている場所がピンポイントで放送されることはない。もう数十年前になるがトラックドライバは市民無線を使って互いに交信し取り締まりや渋滞などの情報を交換していたが、最近はとんとその話を聞かない。道路公団の高速道路渋滞情報は正確だが、実は役に立たない。そもそも迂回路(*1)が無いからだ!一方、我が国では人口減に伴い慢性的な渋滞が解消しつつあることもその理由として考えられる。そもそも現状では誰も渋滞情報をウェブにアップロードする仕組みが無く(*2)、運転中にそのようなことをスマホでやっていたら大事故になろう!一昔前にはビデオタクシーなるものも話題にあがったが、結局プライバシー問題などで実現しなかった。
 *1:最近山手トンネルが完成したことは、迂回路として評価できる。
 *2:我社もこれについて検討中である。

さて、自動車へのIT適用研究をシリコンバレーで行うことの意義だが、恐らく困難だろう。例えば渋滞解除に関し、私の経験ではシリコンバレーでの渋滞は経験したことがない。シリコンバレーの有能で裕福なエンジニアは、出勤時間に支配される人はいないだろう。むしろ、ハリウッドでの研究がカー・エンターテインメントとして面白いアイディアになるかも?米国ではデトロイトという町が自動車産業の中心地として小学校の社会科で習ったが、それは単にヘンリーフォード氏が彼の最初の量産工場をデトロイトに作ったからだろう。勿論、デトロイトの人口や電力が必要かつ十分だったこともあろうが。一方、ITの活用研究はシリコンバレーというのは今や短絡的すぎると思う。すでに北朝鮮なども含め世界中に張り巡らされたインターネットが世界中の情報、つまりアイディアを集めることをできる。私がシリコンバレーに行かなくなってから既に数十年が経つが、未だにその価値があるのだろうか?

シリコンバレーに関する上記見解とは別に、米国がハイテクを主導してきたことは否めず、今後も主導的立場は変わらないだろう。米国は移民を受け入れ、多様な人種や宗教を許容する文化で栄えてきた。今後も多少の揺り戻しがあろうが、もし米国が移民を拒否するなどの姿勢をとればその進歩は止まるだろう。人類の歴史を振り返り、多様性と純粋という切り口でみれば、純粋ほど危ないものはない。純粋集団は少しでも濁ったことでもそれを嫌い、たまたまそれに外部からの圧力が伴うと突然の全体崩壊をもたらすことがあるからだ。脈絡はずれるが、清濁併せ呑むとはいうが、私にも少々濁を消化する能力が必要だったと思う。振り返れば、私自身は他人からの攻撃を濁とも思わず侵され過ぎたと思うのは勘違いだろうか?
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