"エネルギー回収型廃水処理技術"に期待する

十数年前のことですが、運輸省の仕事で東大の都市工学のI教授とイタリアで開催された公共交通に関する国際会議に出席しました。廣岡氏と市橋氏はこのI教授のゼミだったのではないでしょうか?

・追記:2015/8/10

実は8月6日夕刊の記事ですが、会社の決算が多忙で読み飛ばしてました。今日、ざっと読みなおしていて、この記事を見つけたので転記しておきます。


"エネルギー回収型廃水処理技術"に期待する 2015/08/06

我社のウェブサイトはLinkClubというプロバイダのサービスを利用している。このプロバイダの機関誌が年に4回送りつけられており、最新機関誌Vol.189に記載された記事の一つに大変興味を持ったので紹介する。なお、私のエッセーを読んでいる方は、LinkClubという会社のサーバーにアクセスしているが、誰もそんなことを意識している訳もないし、ここでインターネットの仕組みを解説するつもりもない。ここで紹介されている記事"エネルギー回収型廃水処理技術"に着目したのだ。まだ研究レベルにあるが、基礎実験に成功しておりこれが実用化されるとエネルギーが生成(*)され、リンの輸入が不要となる。特に多くの資源が欠如する我が国にとっては、画期的な技術である。いや全ての人類にとって福音となろう。
 *:エネルギーの回収率は明記されてないが、少なくとも必要エネルギーはゼロになる自己循環型システムである。

この技術を簡単に言うと、排水浄化処理と同時に発電するという一挙両得のすぐれものだ。現在の都市部の排水処理は汚水を下水処理場に集め汚物の沈殿・濾過・消毒などを行う。それには汚水を循環するための電力も必要である。この処理の最終工程で排出される水には窒素・リンが大量に含まれ、例えば琵琶湖ではアオコなどのプランクトン発生の原因となっていた。現在では多様な方法による排水浄化技術が考案されているが、このLink Club News Letterを読み大変驚いた。なぜなら私が別のエッセーで「糞尿もエネルギー源だ」と書いたことが既に研究に着手され、実験室レベルでは成功していたのだ!

この技術は、岐阜大学の廣岡佳弥子准教授(*)と市橋修特任助教(*)の研究成果だが、排水で発電のみならずリンを回収することがミソである。窒素・リン酸・カリとは小学生の頃に習った肥料の三大要素だが、リンの回収が糞尿からでき、さらに発電までをもできる夢のような技術である。是非とも実用化にこじつけて欲しい。この電池は「微生物燃料電池」と命名されている。しかし、実用化された際の効率などは、未だ具体化できないようだ。ただし期待できる数値として現在の排水処理にかかる電力の数倍のエネルギーを排水が持つとのこと。
 *:お二人は東京大学で都市工学を学んだそうだ。一般には都市工学と言ってもなんだか分からないと思うが、土木・建築を大きくとらえた学問で快適な都市を設計すること。

私が子供の頃は、田や畑の端っこに藁を砕いて積み上げた室に人糞尿を振りかけてそれが腐敗すると肥料として田畑に撒いていた。また、肥担桶といって大きな壺が畑の端っこに埋めてあり糞尿を溜めていた。ごくまれに遊び呆けた子供が落ち込み大騒ぎになったものだ!当時糞尿は大切な肥料であり、戦後もかなりの間百姓が市民から買っていた。だから昔から糞尿の処理に困ることは無かった。ところが戦後ある時期から、糞尿の処理に費用がかかるようになった。今や日本中で糞尿処理はゴミ処理と同様に各自治体のお荷物となっている。これに上記技術を適用することで、電気も得られ、肥料のリンも得られるのだ。先生方には是非とも良い結果を期待する。勿論実施済みとは思うが、考えられる限りの特許を取得して欲しい。

追記:"ごみからジェット燃料"日経夕刊より 2015/8/10

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、ゴミからジェット燃料を作る技術の実証研究に乗り出すとのこと。来年度にもプラントの設計を始め、家庭ゴミや産業廃棄物を原料に水素や一酸化炭素をつくり、それを合成してジェット燃料を作るそうだ。現在の重油バーナーでゴミを燃やす"ゴミ焼却場"について「本当に良い方法なのか?」と思っていた。大学時代に化学の先生が燃やしてしまうのはもったいないと仰っていたことが心の底に残っていたのだ。なお、上記の方法でジェット燃料を作ると、大阪市の家庭ゴミ一日分でジャンボジェットの燃料タンクが満タンになるそうだ。このような技術が実用化され、より効率のよい社会が現出することが望まれる。毎日のようにゴミを仕分けし(*)、今日は何を出す日なんだろう?などとボケかけた頭を悩ますことが無くなれば私のみならず全市民の余暇が増え、より文化的な生活に時間を使えるようになり、そのうえジェット燃料が得られるのだ!
 *:我々日本人は几帳面なことが国力の一つともなっていると思うが、ゴミの仕分けに多くの時間を費やすことは、間違ってないか?大手業者の思惑かも知れないが、中小の焼却設備業者が倒産し、ゴミ焼却に多大な費用を使っているが、やりすぎではないか?庭木や畑の雑草の焼却までも規制されるとは、誰かの利益の為ではないか?雑草の焼却でPM2は発生しないだろう!

蛇足だがメモとして、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、1973年頃宇宙開発事業団(NASDA)と呼ばれ、当時富士通で人工衛星の軌道計算(*1)の仕事に従事していた私は筑波の事業団に出張したことがある。方程式が完全に理解できないまま、私の作ったプログラムが軌道管制の一部を担っていたことは今でも冷や汗ものだ。恐ろしいことに、このプログラムはその後20年以上(*2)修正なく使われ続けた!結果的にアルゴリズム(*3)もプログラムも間違いなかったということだ。
 *1:気象衛星ひまわり
 *2:その後のコンピュータの性能向上により、当時軌道計算の王道だった解析的手法から逐次近似法に解法が変わったことで私のプログラムも引退となった!
 *3:アルゴリズムは上司の鈴木さんの方程式が基となっている。彼はその後、博士号を取り大学教授に転身した。一年程前になるが鈴木さんが我が家に遊びに来て一泊した!我社の技術顧問にとお願いしているのだが。
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