インドネシアに30日を超えて滞在するには

最近一か月以上インドネシアに滞在することがあり、現地でビザの延長をした経験を記載します。

以前はたった一日の滞在でもビザが必要だったのですが、現在は30日以内の滞在の場合ビザ不要になっています。具体的な手続きについては、インドネシア大使館のWebサイトを御参照ください。
インドネシアに30日を超えて滞在するには 2016/03/23

・ビザ延長手続きをすることで60日まで伸ばせる。実質59泊。
・入国後に延長する場合は、入国時に空港のイミグレーションカウンターで入国ビザが必要。入国ビザ発行手数料はUS35ドル。

入国時のビザが無いと、一旦入国してしまってからでは規則上延長できない。IMIGREという表示を見落とさないように。バリ島のデンパサール空港の場合、出口の手前の端にビザ発行カウンターがポツンポツンと数個不規則に並び、ビザ不要の多くの旅客はそのまま通りすぎるので注意。一旦出てしまったら、もう戻れない!オープン航空券を持っていて予定が未定の場合は、入国ビザを取っておくべきだろう。

但し、規則といっても"間違えた"とか"知らなかった"というようなことが認められるようで、エージェントに費用を払って延長手続きもできるようだ?ただ、通常の費用よりお高くなることをお忘れなく。事故や病気など不測の事態により予定通り帰国できない場合は勿論延長でき、このような場合直ちに旅行エージェントや現地の日本大使館に連絡すること。

私の場合、クタやデンパサールから遠く離れたバリアン村というところに滞在していたので、少々困った。現地で知り合ったアメリカ人のKennyはAgentに依頼して一度の入管オフィス出頭で済んだとのこと。それで私もその地元エージェントに頼むことにした。費用は180万ルピー(約15,000円)で、バリアン村から入管オフィスまでの送り迎え(空いていて5時間)の車代を含む。

もし私自身が申請・受け取りをするならデンパサールのイミグレーションオフィスに申請と受け取りに二回行かなければならない。その場合は、車にするか、バイクにするか、それともバス(ベモという地元乗合バス)にするか迷うところである。いずれにせよ事故などを考えると二の足を踏んでしまう。

下図にビザを示す。インドネシア入国時にUS35ドルを払うと、左ページの査証を貼ってくれて、右下の領収書が発行される。次に30日より数日前に入管オフィスに行って手続きすると右ページの延長ビザが発行された。



●入管オフィス建物について

オフィスは新築で、3階建てだった。二階、三階は部屋がならんでいるが、何のための部屋か想像もつかない。全ての機能は一階にあって、申請書を受け付けたり、指紋や顔写真を撮る部屋がある。けたたましい音声案内と大きいディスプレイで番号が呼ばれるので聞き落とすことはないと思うが、トイレにいれば分からないかも知れない。若い番号から順に呼ばれているようだ。一階には多くの椅子が並び、私が行った際には満席になることは無かった。エアコンが効いていて、半袖だと寒いくらいだった。

私が入管オフィスに到着したのは丁度12時を過ぎたところで、オフィスは閑散、もちろん係官はだれもいない。ところが13時近くになると、どんどん人が増えて、あるAgentは10人くらいの白人の一団を引き連れていた。なかなか良いビジネスをやっているようだ。バリのホテル従業員の月給が1万数千円程度らしいので、ビザビジネスは客さえ見つけてくれば美味しい商売だ。

入管オフィスには来庁者用駐車場が無い。日本では考えられないが、この国の現状を示している。この島には公共交通がなく移動にはバイクや自動車を使うしかないのに、官庁に駐車場が無いのだ!ただ入管オフィスの真ん前に民間の駐車場があって、私のAgentはそこに駐車した。駐車場代は聞き忘れた!おそらく50円か100円だろう?

●インドネシアのお役所仕事について

あらゆる国にはその国特有の事情や習慣があって、役所の仕事といえば無駄なプロシジャーが多く時間がかかるというのが定説である。インドネシアのイミグレーション手続きの場合は、私から見ると出入国に様々な制限をかけて外貨を稼ぎ、役所の人員の仕事を確保しているとも見える。役人のみならず事務手続きを仲介する旅行エイジェントの雇用をも確保し、もちろん彼らの多くは政府寄りの思想を持つから政権安定にもつながる。一方、有名なパーキンソンの法則を思い返せば、これらは特に不思議な現象ではない。

●滞在延長の最も簡単な方法

もしクタなど空港に近いところに宿がある場合は、航空券を買ってクアラルンプールに出国し、現地で一泊して帰ってくればよい。2度も入管オフィスに出頭し実質まる2日はつぶれることを考えるとこれも一手である。クアラルンプールの空港の直ぐ側(歩いて5分)にクアラルンプールでも最も安い(部屋は狭いが安全面と衛生面に問題ない)ともいえるホテルがあり、一泊5ドル!航空券は時期にもよるが、50ドル程度。インドネシアに入国してからの費用ビザ代35ドルと延長代30万RPと費用的にはトントンと言え、手間を考えれば一回の手続きで済む。勿論お金のことを全く考えなくていい人は、シンガポールに出国しマンダリンホテルで数泊して美味しいものを食べて帰ってくればよい。延長の都度イミグレーションオフィスに出頭して不愛想な係官から指紋や顔写真を撮られることは決して楽しいことではない。

60日を超えて滞在する場合も、Agentによっては受け付ける例もあるようだが、上述のように一旦クアラルンプールやシンガポールに出国する方法が順法かつ簡単である。

当初不思議に思ったことは、私が会ったイギリス人、アメリカ人、オーストラリア人は出国前の母国インドネシア大使館での申請により最初から60日が認められている。それで早速日本のインドネシア大使館のWebサイトを見ると、出発前に日本でのビザ延長が認められているように読める?我々も最初から60日間滞在することが決まっている場合は、東京のインドネシア大使館でビザの延長処理をやればよい。但し、この件に関しては詳細な調査をしてないので、後日訂正もありうる。

●隣部屋のカナダ人夫妻の場合

隣の部屋のカナダ人カップルが長期滞在しているとのことでビザについて聞いたところ、

・延長申請は本人達が出頭
・受け取りも本人達

とのことで全て自分たちでやったそうだ。

ところで、このカナダ人カップルによると、30日目頃にスンバワ島に行く予定があり、一週間もパスポートを待ってられないと言ったところ、余計に金をとられたが次の日にもらえたそうだ。この国では事情を話して金さえ払えば、この程度のことだったらどうとでもなるようだ?

あくまで規則は規則であるが、例外も認めるということだろう。もちろん、入管手続き規則にはその旨を明記してないが!少なくとも私の知る限りこの国の規則は柔軟である。但しモルヒネやマリファナなど薬物の持ち込みや使用には厳格な罰が待っている。すでに昨年は何人かの外国人が死刑になっていることをお忘れなく。またイスラム教国であり、冗談でも反宗教的・反社会的行為や言動はつつしむべきである。

●Kennyの場合

ある日、アメリカ人のKennyと話しているとビザを延長するという。近所のWarungの女主人WayanがAgentに連絡して都合をつけてくれたそうだ。それには約180万RPかかるという。Kutaの出入国管理局への送り迎えと一連のドキュメントワークを含むそうだ。そのWarungに行ってみると、本脈絡には何の関係もないがたまたま旧知のイギリス人Andyがジュースを飲んでいた!さて、女主人は知人のAgentに電話して、私のビザ延長も引き受けてくれることになったので、その場で彼女にパスポートを手渡した。Kennyが言うように、ここBalian村からDenpasalの往復は道路が空いていて5時間、道路が混んでいたらさらにかかる。時間を金で買ったのだ。それでも一度は入管オフィスに行かなければならない。

後日、Kennyと話していると、米国でも事前に申請すれば60日ビザが本国で取れるとのこと。彼の場合、Baliへの旅行を急に思い立ち、申請の時間が取れなかったそうだ。

●私と同宿のイギリス人夫妻の場合

彼らは、イギリス南西部コーンウォールのニューキーに住み、バリに来る際にはロンドンのインドネシア大使館に必要な金を振り込みパスポートを郵送することで60日の滞在許可が得られたそうだ。それをさらに30日延長する手続きをするために朝一でクタに出掛けた。受理され、また一週間後にエージェントが取りにいきVarian村まで持ってくるとのことになった。

これには後日談があり、エージェントから夫妻に受け取りに来てくれとの連絡があったそうだ。二人分で130万RP(約1万3千円)を払っており、もともとの約束は一回だけ出頭とのことだった。彼らはエージェントからの返事待ちになっていた。エージェントから「今日は入管オフィスが休み」などといい加減な返事を受けて困っていた。

ある夜彼ら夫妻と近くのWarungで食事をしているとエージェントからパスポートを持ってきたと連絡があった。運搬費用として、クタからここまで遠かったからもっと金をくれといったそうだ。奥さんのHelenは、それを無視して一切追加料金を払わなかったとのこと。当地バリでは約束というのは目安にすぎなく、例えクタで代書屋をやっていても信用という面ではなかなか先進国レベルの常識には程遠い例もあるようだ。いずれにせよ、彼らのビザが延長されパスポートが戻ってきてよかった。一か月以上毎日一緒に食事をする間柄、私も彼らのビザを心配していたが、懸念が去り本当にホッとした。

なお、夫妻はクタの街でビザエージェントの店を何件も渡り歩き、一番安いところにしたとのこと。一般的にイギリス人は金に細かいとのことだが、彼らも一円でも安いエイジェントを捜したそうだ。なおかつ現地エージェントの翻意には決して妥協しなかったのだ。こういう姿勢が我々日本人には欠落している面があると思う!私が彼らの立場だったら、ついつい二三千円よけいに払ってしまい、エージェントの男は日本人はチョロイと思い込み、そういう話がバリ中に広まるのだろう。お人よしの日本人の一人として、いつも心に留めおきたいものである。

●海で聞いたフランス人サーファーの場合

彼は、10年前Balian村に家を買い、6ケ月毎にフランスとインドネシアを往復しているそうだ。VisaはソーシャルVISAというものを使い、一か月毎に更新が必要だが毎回誰だかに(Agentだろうが?)50万RP(500万RPの聞き間違い?)を払って更新しておりいちいち入管オフィスに行ってないという。その方法については後日AYUに来て教えてくれるという。いずれにせよ、これだと最大滞在日数が60日から180日に増える訳である。ところが彼はまだ教えに来てくれてない。
元に戻る