バリ島バリアン村の水事情

世界的に見れば水道水を飲むことができる国はそれほど多く無いようです。我が国では全国津々浦々に浄水場が完備され安全な水が供給されていることは幸せなことだと思います。

バリ島バリアン村の水事情  2016/3/30

つい最近滞在したバリ島のバリアン村では、それぞれの家庭が井戸を持っているようだ。とは言っても日本のつるべで汲みあげる井戸のような物でなく、地下に細い穴を掘りポンプで吸い上げるやつだ。昔から千葉の上総掘りというような井戸の掘り方があるが、そのようなものだろう?ところで、この水は飲めない。そもそも最初からドブ臭い匂いがある。私は鼻が利く方で、この匂いは下水の匂いだ。何千年にも亘り糞尿から生活排水まで全て住居の近傍に廃棄してきた結果だから、そう簡単には浄化できないのだろう。しかし、バリ島には人が住めないほど高い山もあり、そこには清流や汚染されてない地下水があり、飲料水として販売されている。ペットボトル大で50円である。もっとも一般家庭では大きい飲料水専用のボトルを購入し炊事に使っており、それだと単価ははるかに安いはずだ。今度マーケットで調べてみよう。

いずれにせよ、地下からくみ上げた水はかなり濁り、また匂っており、洗濯にも支障をきたすことがある。真っ白のワイシャツなどをこの国で洗濯に出すことは少々リスクがあると思う。ローンドリと看板が出ている店は沢山あるが、本当に真っ白で戻ってくるのか、それとも少々うす茶色くなって戻ってくるのか、私は試したことがない。ただ、もう10年以上も前になろうか、インドに出張した際に、現地に住む日本人の女性が白いものは色がついて帰ってくるので自分でやらざるを得ないと言っていた。それでもまれに真っ白にピタッと糊がついたワイシャツを着てボーンとおなかの出た(*)金持ちそうなインド人を見かけることもあった。
 *:インドでは肥満はお金持ちの象徴だと聞いたことがあり、太った女性ほどモテるとの話もあった。(未確認だが!)さらに蛇足かも知れないが、私の大学の後輩でサウジアラビアからの留学生によると、太った女性が好みであると言っていた。

私は香川県の片田舎に生まれたが、貧しかった子供のころはここバリアン村と同様に、井戸から水を汲み、それですべてを賄っていた。それでも井戸水が涸れたり濁ることは聞いたことが無い。何千年もバリアン村と同様のことをしていても我が故郷の井戸水がきれいなのは、水が豊かということだろう。四季があり降水量が多い我が国は、諸外国に比べて水に恵まれていると思う。さらに、バリアン村との決定的な違いは、糞尿を大切な下肥として田畑に使ったことから、実際には糞尿が窒素などの元素に分解されていたことも地下水を汚染から救ったのだと思う。

海外に行くとあらゆる事柄を日本の場合と比較しがちだが、特に水に関して我が国は豊かだと思う。仕事で何度も米国に行ったが強く感じたことは、我が国に比べて緑が少なく、いわゆる砂漠ともいえる荒地も多いことだ。カリフォルニアの海岸地帯からちょっと奥に入ると西部劇でお馴染みの光景がどこにでも見られる。ところが我が国にはあのような光景はまず無い。どこに行っても緑が豊かで川にはいつも水が流れているからだ。むしろ、ちょっとした空地でもしばらく整備を怠るとたちまち雑木林になってしまう。我が故郷の段々畑がいつの間にか藪のようになってしまった例は多々見られる。もう草ぬきでさえもできないほど自然に戻ってしまっているのだ。
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