曽野綾子の「人間関係」を読んで

なにかを読むと大昔のことがよみがえってくることもあります。そろそろ全てあの世に持っていく頃ですが?
●曽野綾子の「人間関係」を読んで 2017/8/27

曽野綾子が好きかどうかは恐らく極端に意見の分かれるところだろう。彼女の本には彼女の考えが遠慮なく記載されているからだ。私は高校を卒業してから小説を殆ど読んでなく、また読んでも最初の数ページ程度だ。大人になり夢と現実があらわになると作り話に関心が無くなったというのが原因だろう。それでも新聞やエッセーはよく読む。実際の出来事や誰かの意見には年老いた今でも関心があるからだ。

今回読んだ本の題目は「人間関係」というもので、"新潮45"に2011年6月から2012年7月まで連載された「人間関係愚痴話」をまとめたものだ。彼女特有の言いたい放題であり、私には小気味良い内容である。恐らく当事者にはカチンとくるものもあり、納得できないものもあろうが、私には多くがなるほどねと思うのである。三浦朱門が御亭主だが、彼も相当好き勝手を言っていたから家庭内は互いに楽しかったに相違ない。

この本の最後に、曽野氏が坂下門でたまたまウォーレンバフェット氏に会った時のことを書きだしに「成功者の法則」という副題で、バフェット氏が子供の頃コーラ6本を25セントで買い、一本を5セントで売り5セントの利益を得たことを書いている。バフェット氏の家庭は裕福だったが、新聞配達やゴルフ場のボール拾いなどで小銭を稼いだとのこと。その話をベースに曽野氏は我が国の200万人を超える生活保護受給者に対し病人でない限りバレット氏のようにどんな仕事でもするというなら国家から金をもらわなくてもどうにか生きていけるはずだと書いている。多くの人が言いにくいことを、曽野氏がはっきりと言うから読者は喜ぶのだ。

この本を読み私自身大昔のことを思い出した。小学校の修学旅行で高知県に行き、桂浜、高知城、牧野植物園、龍河洞などを見学した。当時コニレットという親父のおさがりの小さいカメラを持っていった。露出やシャッタースピードの関係を完全に理解しないまま、とにかく明るい時に太陽を背にピントを間違えず、絶対に揺らすなレベルで24枚だったかを撮ってきた。その写真をクラスで回覧し売ろうとした。それが先生に見つかりフィルムが没収され、皆に原価(写真屋さんの価格)で販売され私のビジネスは頓挫した。もう少し状況を考えてビジネスすれば私もバフェット氏までもとは行かなくとも、今のような貧困状態では無かったかも知れない。なぜかこれに関わらず、当時何かあると必ず私が筆頭に先生から叱られていたことを思い出す。ある級友は毎日集中攻撃だなと言っていた。
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