バンジョーを修理した

子供の頃から音楽が好きで、退職し毎日が日曜日になってから集めたギターが10台を超えてしまいました。バンジョーは二台め!もうやめておこうと自身に言いつけています。

●バンジョーを修理した 2020/04/04

バンジョーはウェスタンミュージックの定番である。大昔我が田舎に映画館が二つもあった頃、親父が西部劇が大好きでたまに連れて行ってくれた。主人公のカウボーイが渓谷にさしかかると、どこからともなく弓矢が飛んできてインディアン(*)が崖の上から現れるのが定番だった。子供だったので本当に怖かったことを思い出す。その映画の中で使われる音楽だが、ギターよりもバンジョーの響きがとても心地よかった。その後、大学に入るとクラブ活動のバンドにブルーマウンテンボーイズというウェスタンバンドがあって、私のクラスの富山出身の背の高い男がバンジョーを弾いていた。
*:現在米国ではインディアンは差別用語で、ネイティブアメリカンと呼ばれている。数百万人ともされるインディアンが容赦なく殺戮され不毛の荒野に追いやられ、開いた土地にヨーロッパからの移民が入植する西部開拓史は、黒人奴隷同様米国の恥部だ。



購入したバンジョー。4フレット目左のペグは新調のもの。

さて、このバンジョーは暇なときにいつもうろうろする港北のノースポートのブックオフで買った。5000円なり。あまりに安いので直ぐに手に取ったが、第5弦ペグが壊れていた。少々躊躇したが、この程度なら自前で直せるだろうと買い込んだ。ネットで修理方法を調べたが、分からない。それで手持ちの工具を使ってペグを外すことから始めた。様々な取り外し方法を検討したが、結局ペグの弦を巻く溝に私が持っている最も大きいクギ抜きの爪をはめて抜いた。もちろん楽器に傷がつかないよう支点には硬い板を当てた。



左は廃プリンタ部品の端をテーパー状にヤスリで削って穴掘り治具を作った。元のペグの径は少々細かった。右はバンジョーのネックで、第5弦ペグの穴だ。

代替ペグの入手だが、件のブックオフに無く港北の楽器店にも見つからなかった。神田の著名楽器店には在庫があるようだが、コロナ騒ぎの最中都内に遠征する気もせず、店も閉まっているかもしれなかった。結局定番のネット検索だ。ネットにはあまたありアマゾンで購入した。当初バンジョーペグ5弦セット(5個組)を発注したが、はるか中国から到着した封筒を開けてみると必要とする第5弦ペグが欠品(*)していた。それで新たに、アマゾンの別業者に第5弦ペグのみを発注した。故障したペグの内部には小さいギアがあったはずだが、ギヤも無く空回り状態。ここで注意事項だが、バンジョーの取り扱いで最も注意すべき点は、ペグの回し方だ。左右で回転方向が異なり、間違えて回すと弦を切ってしまう。
*:購入先に第5弦ペグの欠品を申し出たが、在庫無しとのことで不要な1〜4弦ペグが手元に残ってしまった。勿論、返送すると申し出て返金してもらったが。返送不要とのこと。



最初に送ってきたバンジョーペグセット。残念ながら第五弦ペグが欠品。

実は70年代最後に一人で米国からメキシコへと小さいバックパックを背負って徘徊したことがある。その折サンフランシスコの質屋でバンジョーを買った。たまたま通りかかった質屋のショーケースに飾られたバンショーを見ているうちにたまらなく欲しくなり衝動的に買ってしまった。旅行中に楽器を買うという我が身のバカさには今でも驚く。私固有のことだが、若さとはバカさである。バンジョーを抱え夜行バスに乗りグランドキャニオンに行った。フラッグスタッフというグランドキャニオン観光の拠点となる小さい町に泊まり、帰路夜中に6時間遅れのロスアンジェルス行きバスを待っていた。バンジョーのチューニングは知らなかったが、ギターと同じ調弦で暇にまかせて適当に演奏していたら、そばに座る白人の親子がニコニコと聴いていた。音楽は世界共通言語だと実感した瞬間だった。メキシコまで行ったそのバンジョーはいまだ故郷の秘密基地に眠っている。無名メーカーの安物でネジの一部を紛失しているが、いまだにとても手放せない。
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