遠藤周作と医療ミス

最近、ある大学病院の特定の手術で亡くなる人の多いことが問題になっています。全ての医師の治療結果とその後の患者の容態をデータベース化し、公表すべきだと思います。

難病の治療について神の手を持つと称されるような医師がテレビで紹介されることがありますが、全ての患者はそのような医師に執刀してもらいたいはずです。逆にある医師が執刀すると十中八九亡くなるとすれば、ほぼ全員がお断りするでしょう。

現在の保険医療制度では、医師の有能無能に係わらず診療コストは同一です。この世のありとあらゆるものにそれぞれの価値がありますが、結果がどうであれその作業に固定値がついているものは我が国の医療でしょう。

恐らく、当局はこの矛盾の解消を考えている(*)とは思いますが、現医療制度は”悪貨は良貨を駆逐する”状況にあるということでしょう。このままだと、我々は健康保険金を無能悪徳医者に無限に吸い取られる構図ですね?
 *:今のところ新聞などで報道されてないので、誰も問題視してないのかもしれませんが!

追記:2015/07/19

誰しも死から逃れることはできませんが、定期検診データも読めない医師が担当だったら悲劇ですね。私のようなぼんやり者にはとても医者はできませんが。しかし、患者に軽口をたたくようなことはしません。

追記:2016/4/1

あらゆる職業は永遠とは言えないでしょう。ただ医師の優位性は患者の命を支配していることから永遠とも言えます。はたして医者を叱る患者はいるのでしょうか?死んでしまってからは、文句の言いようがありませんね!

追記:2016/7/20

巨泉ほどの人だから優秀な医者に診てもらっていると思いますが、このようなクレームがあります。私は子供に「痛がったり苦しがっている場合は、一刻も早くあの世に行かせてくれ」と伝えてあるので、大量のモルヒネが投与されるはずです!数年前から余生が始まり、一つ々々やり残したことを片付けています。終活中と言えばいいのでしょうか?

●遠藤周作と医療ミス 2015/07/10

遠藤周作の奥様遠藤順子氏が書いた"夫の宿題"を読んだ。なぜ遠藤周作かというと、亡くなった親父と同世代で、大変失礼だが受験勉強に力が入らなかったところだけが私と似ているからである。さてこの本だが、いきなり始まったのは、遠藤周作のかかりつけの医者だったK氏のことである。記述によると遠藤周作の死因は、K医師の投薬ミスとのことだ。順子氏はよほど腹にすえかねたのだろう、第一章から詳細に記述している。

…今まで飲んでいた薬を全部もってきてほしいということで、入院の時に持参いたしました。ところが、K先生から常時頂いていた薬の中には、「これは腎臓に重篤な障害を及ぼす薬ですよ、これを飲んでいらっしゃったのですか」とA病院の担当医から言われた薬も何点かあって、呆然としてしまいました。さらに、糖尿病を患わっていて急に糖尿の数値が良くなった場合は、腎臓が悪化しているということは内科医の常識ですよ、とも言われました。…

とあり、無念と怒りが文章のいたるところに垣間見える。上記の診断結果を遠藤周作がK医師に伝えたところ「見解の相違ですな!」のひとことで二度と連絡が無かったという。

私の子供の頃からの遊び仲間に心臓外科医がいる。ある時彼に手術ミスについて尋ねたことがある。彼は『自分の技量不足で患者が亡くなっても、患者に運が無かったと思うしかない。そうとでも思わないとこの商売はやってられないよ!』と言った。ただ、上記のK医師の場合は、全く普段のお勉強をしてないと言えよう。一旦医師免許を取ったらあとは何も考えず、淡々と金づるの患者に薬を与え続けるという医者が少なからずいるということだ。しかし、そういう医者かどうかはその医者の額に書いてなく、患者には分からないことが評価の難しいところだ。

私ごとだが、つい数か月前にギックリ腰になった。現象はギックリ腰だが、その原因は薬物中毒だったような気もしている。その後、耳が腫れたり(*)吐き気が続いたりしたからだ。ところで、その時救急車で運び込まれ3泊4日入院した際だが、外科の担当医はなぜか長い時間胸にセンサーを押しつけて心臓のパルスを測定した。その時にあまりにもセンサーを強く胸に押しつけるので痛くて我慢できなく「押しすぎて痛いのですが!」と文句を言った。最後に彼が言うには、心臓に問題があり手術の必要があるので再度入院して欲しいとのこと。この先生、私のことをよほど気の小さいオバカさんと思ったのだろう。
 *:富士通病院の耳鼻科医の的確な治療で回復した。なお、恥ずかしいことに耳垢が両耳の奥にたっぷりと溜まっていたとのこと。聴覚検査では一度も問題になったことが無かったし、耳かきで時々かき出していたから想像もしなかった。

さて、心臓の手術だがそもそも心臓がいきなり悪くなるはずがないことは常識だ。確かに心臓に毛が生えている人も大勢いるが、そういう人の脱毛手術はマンガか怪奇小説の中だけだろう。私の場合、長い会社生活で毎年健康診断を受け、その都度心電図でチェックしているのだから。そういうこともあり、この心臓外科医から次の受診日時を指定されたがハイハイと返事しながら二度とこの病院には寄り付かなかった。もし再びこの病院に救急車で運び込まれ、心臓にメスを入れられそうになったら這ってでも逃げ出すつもりだ。
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追記:城山三郎夫人の場合 2015/07/19

"城山三郎の昭和:佐高信著"に叙述された城山の夫人が肝臓ガンで亡くなった際ことだが

…しかし、その時、城山も夫人も、肝臓ガンが進行しているとは想像もせず、歳のせいかな、などと考えていた。
 血圧が高めだったので循環器系統の医師の定期検診も受けていたのだが、その医師は、
「あんたの肝臓はフォアグラだよ、アハハ」
 などと軽口を叩き、質問すると、
「医者に教える気か」
と怒るような人間だったので、手遅れになった。
「今でも恨みがのこります」
と城山は憤っている。…

とある。実は私も同期入社の50代の友人二人を肝臓ガンで亡くした。本人達は死ぬことが分かっているのだから、見舞の際の会話もどうにもぎこちないものだった。

追記:医師過剰 2016/4/1

今日の日経の記事、厚生省によると医師数が2040年には過剰になるという。20年以上先の話だから、来年の受験生の一部はいきなり医学部志望から経済学部志望に変えるなど無いだろう。しかし、現在の歯科医師数の過剰を考えれば、これから医者を目指す人には重要な情報だ。歯科医師過剰は予測されていて、実際にそうなった。この結果から見れば意外と受験生は一直線なのだ。大学入学の時点で将来の職業がほぼ決まるのは医学歯学薬学系のみだからこの情報は受験生には重要な情報である。ただ、私が富士通に入社したとき独身寮の隣部屋で同期入社のK君は千葉大薬学部修士修了で半導体事業部に所属していた。彼は完全に電子工学をマスターしており、マックスエルの方程式やシュレージンガーの方程式を自在に操って偏微分方程式などお手のものだった。「何でこうなるんだ?」と聞くと「俺のいうとおりやればできるのだ」といい、面倒な途中の計算を端折って結果を教えてくれた!

追記:巨泉の死 2016/7/20

大橋巨泉は、私たちの世代には11PMだろう。ジャズもゴルフもマージャンもと多くのメジャーなお遊びをカバーするマルチタレントだったことは御存じのとおりである。絶頂期に引退してカナダやオーストラリアに移住しビジネスを始めるなど、私からみればスーパースターだ。

さて、寿々子夫人のコメント(*)として、私には見過ごせないことが記載されていたので転記する。
 *:スポーツ報知 7/20

…先生からは「死因は“急性呼吸不全”ですが、その原因には、中咽頭がん以来の手術や放射線などの影響も含まれますが、最後に受けたモルヒネ系の鎮痛剤の過剰投与による影響も大きい」と伺いました。もし、一つ愚痴をお許しいただければ、最後の在宅介護の痛み止めの誤投与が無ければと許せない気持ちです。…

とのこと。巨泉ほどの人でもどのような医者に出会うかは運次第であることをつくづく思う。すべての医者に最善を尽くして欲しいと思うのは私だけではあるまい。
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