「20歳のときに知っておきたかったこと」を読んで

スタンフォード大学の起業家養成コースの先生が書いた本ですが、このような授業は日本では出来ないと思います。そもそも我が国では学問と実商売には深い溝があり、学者が大儲けした話は聞いたことがありません。確かにビジネスを教えるほどならば、自らビジネスをするでしょう。矛盾ですね!
●「20歳のときに知っておきたかったこと」を読んで 2014/3/30

この本は、2011年のベストセラーで30万部以上売ったそうだ。スタンフォード大学のアントレプレナー・センターのティナ・シーリング氏の授業だが、Webではこの本に記述されたスタンフォードの授業が殆ど公開されておりちょっと覘いてみた。ティナ・シーリング氏の喋りはかなり早く、これが聞き取れたら米国への留学は問題ないと思う。念のため、彼女の出身を調べたら、ペンシルベニア州とのこと。私の知るかぎり東部と西部で英語はかなり異なる。東部の喋りはかなり早く、特にニューヨークの若い女性のスピードは観光案内でも我々には聞き取りが難しい場合がある。

さて、内容だが難しい理屈理論は全くない。具体的な課題を与えて、その結果を分析するのみだから読みやすい。勿論、実ビジネスでの成功例も記述されておりビジネスマンに参考になることもあるかも知れない。但し、学問としてのビジネスでの成功への方程式といわれるものは著述されて無い。もし何かのビジネスをやっている方は、これを読んで売上向上や成功へのヒントを得ればよいと思う。但し、学生が授業でやることだから実ビジネスでは適用できないことも多かろう。

米国の著名ビジネススクールでは、恐らくこれに輪をかけたようなことが教えられていると思われる。米国では大学の先生が企業経営者になることもあるようだが、日本では聞いたことが無い。そこが米国の強み(*)かも知れない。産学云々という用語もあるが、実際には学校が企業戦士の養成所になっており、実践力は会社に入ってからというのが実態だろう。あまりお勉強では目立たず、麻雀のプロだったような学生が社会に出ると水を得た魚のようになることもままある。それほどにビジネスの世界では理論と実践が異なり、特にビジネスは未だ数式化できなくまだまだ誰にも分からないのだ。
 *:但し、ハーバードビジネススクールの成績トップだった学生が大企業のトップになったという話は聞いたことが無い。知る方はお知らせ願いたい。

実ビジネスとしては、ある手がかりを基に適切と思われる手立てをすることで他を出し抜くことができれば成功と言える。ビジネススクールの講義では、人種、法律、習慣など特定のパラメタをある商品にフォーカスしてその違いを分析し、販売戦略などを練るようだ。その際には、考えられるありとあらゆるパラメタがその計算式に入っているはずだが、結果は成功と失敗の二つ以外は無い。非情ではあるが、どんなに努力してもそれが的を得てないと全くビジネスにならず、例え大企業といえどももんどりを打って倒れるのだ。我が社の経営に何かのヒントをと思って精読したが、これで得たことは企業秘密(知りたい人はないかも知れないが)としておこう!
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