ファインマンの物理学

若い頃は勉強することが苦痛でしたが、将来の夢もありました。恐らく今の多くの若者も同じだと思います。

追記:2016/1/16

最初に出現したときはつかみどころのない数式ですが、電気電子工学科の学生は回路設計をやり始めると電気的な現象が数式と合致することが分かり、大工さんがノミやカンナを使うように自然と数式を使うようになってきます。

追記:2016/1/30

数学には悩まされました。興味の無いことには手が出ないという性格的な問題でしょう。会社に入ってからは性格改造を散々仕込まれました!

追記:2017/9/7

いつものように本屋をブラブラ、この類のものはどうしても手に取ってしまいます。

追記:2017/9/13

ファインマンとは関係ありませんが、メモとして。

●ファインマンの物理学 2015/06/01

富士通に入って一年目、独身寮の同期入社で川崎工場勤務の新井、豊島、桧垣の三人と物理学の輪講をやろうということになった。会社は毎週水曜日が定時退社と規定されており、水曜日の夜私の配属先だった衛星通信研究部の会議室でやっていた。勿論、言いだしっぺは勉強嫌いの私でなく、新井か豊島のどちらかだったと思う。新井も豊島も勉強好きかつチャレンジングな奴で、新井は30代で富士通を辞めて電波測定の会社を作りいまも元気にやっている。豊島も富士通をスピンアウトしてシリコンバレーでベンチャーをやっている。私はといえば彼らとは大変な差があるが、彼らにあやかりたく富士通をフェードアウトして(スピンアウトでなく)全く儲からない当社を設立した!

さて、この輪講に使ったのがファインマンの物理学だった。もう40年も前のことだから古典物理学からやったのか電磁気学だけやったのか思い出せないが、我が家にはファインマンの古典物理学、電磁気学、量子力学(*)の三冊があるので全てやったのかも知れない。これらの科目はそもそも大学でキチントやったハズで、我々の輪講は一皮むけたものだったが、私のレベルが低く皆さんについていくのがやっとだった。彼らは、マックスウェルの方程式も、シュレーディンガーの方程式も完全に弄んでいた。しかし、私はと言えば問題と解法を記憶して単位を得るのがやっとの学生だったから、彼らとのやりとりが大変だった。実は、今でも難解だった数学の試験の夢を見てハッと目がさめることがある!
 *:英語の勉強の為と考えて、丸善で原書も買ったが読んでない!

ところで最近、「ファインマンさんは超天才」という本を読んだ。彼の伝記の最終版のようで彼自身の記述部分のみならず、彼の周囲の人々からの聞き取りメモも多くを占めている。最終項近くになり、スペースシャトル・チャレンジャー号の事故原因追究委員会のことが詳述されている。これによるとチャレンジャー墜落の原因はブースターの接合部のOリングの不良だったそうだ。チャレンジャーの信頼性(失敗の確率)は10万分の1だと言われていたが、ファインマンはその1千分の1だと指摘したとのこと。ノーベル賞学者の彼がどういういきさつで原因調査委員会に招へいされ、さまざまな障害を乗り越えて委員会のメンバーにちょっかいを出し、最後に原因をつきとめたことが記述されており、ファインマンの気質がよくわかる。

今の私に物理学がどの程度必要だかは分からないが、もう一度件の3分冊をじっくりと勉強しなおそうとも考えている。しかし、迫りくる加齢により理解力も体力も衰えておりどの程度理解できるか疑問ではある。最近は寝られないとき数学の本を読むことが多いが、考えながら行き詰まり混乱の中寝てしまうのである。睡眠薬代りだ。ただ、この方法はどうにも本格的な睡眠に入り込めなく何度か目が覚めることもある。飲酒と睡眠、読書と睡眠など暇にまかせていろいろと実験しているが、まだ結論は出てない。ボヤボヤしているとそろそろ睡眠から永眠になりかねないが!ファインマンさんと何の相関もない話になってしまった。
元に戻る

追記:オイラーの公式 2016/1/16

昨夜、CQ出版社の雑誌 Interface 2016: 2月号を読んでいるとファインマンのことが出ていたので追記しておく。ファインマンは、オイラーの公式のことを『この式は我々の至宝である』と言ったと記載されていたからだ。ファインマンは数学の天才で、プリンストンの大学院受験では数学の成績が抜群だったので合格したとのことを伝記で読んだが、彼がこの公式を「至宝」だと言ったことは知らなかった。

オイラーの公式とは、複素平面上において、1のベクトルを考えたとき、その偏移角をθとした時に成り立つ公式で

ejθ=cosθ+jsinθ
 (e:指数関数、j:虚数単位、θ:角度)

である。電子工学や無線工学を習った人にはおなじみの公式だ。この式のθにπを代入(このリダクションが教科書に出てたと思う)すると、オイラーの等式

ejx=-1

となる。(テキストではASCIIキャラクターを使って数式の階乗を示せないので上記でご勘弁。)なお、この公式は昨今のディジタル信号処理の理解には欠かせなく現在我社が設計中の機器も、今や数式(LSIの組み合わせだが)の塊のようなものになっている。現在、スマホやドローンなどは子供の玩具にもなっているが、その設計は数学の塊とも言えよう。すでに私の頭は化石となりつつあるが、このLSIとサーボモーターやセンサーを組み合わせた特異なプロダクトで世に問いたいと考えている。ヒットは夢かも知れないが!

追記:東大・京大の院生に聞いた美しい数式とは 2016/1/30

例によって本屋でブラブラ、目に入ったタイトルは「使える数学」である。週刊ダイヤモンドの2016/1/23号で、表題を見ただけで手に取らずにおれなかった。技術的な解法のみならず経済から生命科学(医学)までにも、数学が如何に世の中に影響を与えているかが記載されている。新井紀子氏(*)の対談に始まり「割り算って何?」「指数って何?」と実にうまく書かれている。数学に興味がある人は一読をお勧めする。さて、この記事の中に"東大・京大の院生20人に聞いた美しい数式"としてオイラーの等式が一位になっていたことが目を引いた。ファインマンのみならず若い数学者の意見も一致していたことを知った。無能な私には残念ながら数式の美しさを語ることができない!
*:国立情報学研究所教授、一橋大法学部からイリノイ大数学科博士課程と文系頂点から理系頂点を歩まれている。私は単行本"ハッピーになれる算数"で名前だけは知っていたが、たまたま本誌でお顔拝見!

追記:世界一美しい数式 2017/9/7

雑誌Newtonの今月号表紙のお題目だ。勿論これはオイラーの等式のことである。ついつい手にしてしまった。exをテーラー展開し各次元に応じてグラフ化することで無限次元の線分がy=exになることを素人にも分かりやすく説明している。大学の講義においてこのレベルで説明すれば落ちこぼれる人(私のような鈍い輩)は無いだろう。オイラーの公式の活用例としてノイズキャンセリングヘッドホンを挙げているが、これも数式と実回路を照らしあわせて解説すれば楽しい記事(私のみか?)になると思う。私のように今や全く小説を読まない者はこの類の雑誌を読むことは大変楽しく、また興奮もする。なお、別誌にはファインマンがオイラーの公式のことを『この式は我々の至宝である』と言ったとあり、本誌には"This is our jewel."と言ったとあるので、私ならあのファインマンさんのことだから『これはみんなのお宝だ』と言ったと訳すが?

追記:電気回路のための数学 2017/9/13

愛読する雑誌"トランジスタ技術"に上記標題で別府伸耕氏の連載記事が9月号からスタートした。私には大変楽しい記事で、一字一句読み逃さないようにしている。ベッセルやチェビシェフなど大学の数学で聞いたことがある用語が出てきたことから昔の知り合いに会ったような気持ちになる。フィルタの基礎的概念として、高校生の頃にアマチュア無線を始め当時持っていた概念は、交流信号がコンデンサを抜け、コイルで止まるレベルの感覚である。アマチュア無線の国家試験はこのレベルの知識とオームの法則と三角関数と微積が理解できれば多くの問題は解けた。このお題目では難解なマックスウェルの方程式やシュレージンガーの方程式(*)は出てこないが、実際の回路設計の肝を知ることができ、むしろこれで回路設計のノウハウ全てが得られるかも知れない。昨日、港北ミナモで10月号を手に取り、早速この項目を読んだが、原稿量はWordのA4で1500ページとのこと、年間連載か?私にとっては若い頃を思い出す楽しみの一つが増えた。多くの読者も期待しているだろう。
*:勿論フィルタ設計には不要だから!
元に戻る