"闘うプログラマ"を読んで

MSでNTが開発されていた頃は、私は会社生活で技術部長としてあぶらが乗りきっていました。複雑で大きいシステムの開発には天才的な開発者の存在が欠かせません。私の開発部でも天才が二人いて、あらゆる困難が克服されていくのをこの目で見てきました。私の仕事はどうだったかですって?その天才開発者にお願いするだけのおバカだったか!

追記:2016/7/31

現日本MSのトップの顔を初めて見ました。大昔私も声を交わすこともありましたが、MSはどんどん大きくなり、一方私はどんどん小さくなってしまいました。それでも何かに手を出さざるを得ない性格には我ながら「懲りないなあ」とため息をついてしまいます。

●"闘うプログラマ"を読んで 2015/08/06

マイクロソフト(MS)のWindowsNT開発記である。当時MSは、Windows3.1から95への移行でPC-OSの覇権をほぼ手中にしていたが、NTの開発成功でその後の98からXPへの移行も確約され完全支配が確定した。NTが登場したばかりの頃は、しばしばダウンするという問題もあったが徐々に安定し当時富士通の子会社に勤めていた友人が自分の机のすぐ横にNT入りPCを置き長期間止めずに安定性をテストしているのを見た。彼の弁によると「全く落ちないよ!」だった。しかし、NTの性能を引き出すにはCPUの性能よりもむしろメモリー容量が課題だった。当時はメモリーが大変高価で、事実上素人が趣味でNTを動かすことは出来ず、Windows、MacOS、NT、Linux、OS2が混在しOS9などもまだ生きていた。WindowsXP以降今日のWindows10までのMSのOSの推移を見れば、いきなりの私的結論だが、これからはLINUXだろう。皆さんが携帯やスマホで使っているAndroidもiOSもベースはUnix、即ちLinuxなのだ。CPUの稼働数から言えば既にLinuxに変わったといっても過言ではない。

さて当時、NTの動作の鍵であったメモリーの価格はムーアの法則どおり、どんどん集積度が上がり価格は毎日のように下落していた。XPが発売された2001年頃は、素人向けのPCは128KBから256KBが主流だったと思う。しかし新たに販売されるXP仕様の素人向けPCでも500KBメモリーが標準搭載となった。ただし旧いPCのメモリー容量は非常に小さかったが、それでもどうにかXPが動作したことを覚えている。98からXPにアップデートし、普段使用しないOSの機能を停止させることでアプリケーションの動作を少しでも円滑にしようとしていた。この頃の癖が抜けなく、今でも7や8.1の解像度を落としたりバックアップ機能を殺したりし、やたらと性能を追及している。但しウイルスチェックソフトだけは、怖くて外せない。

さて、この"闘うプログラマ"だが、MSがプロから素人まで百数十人の優秀な技術者を集めNTを開発した経緯を記載している。当時PCは既にマニアのお遊び道具からビジネスの道具に変身していたが、XPが出てくるまで企業では端末レベル(単機能という意味)の使い方しかされてなかった。せいぜいブラウザとワープロと表計算とプレゼンツール以外は使わせないしインストールもさせないというのが常識だった。企業内PCでは、素性の知れないソフトを入れるとそのソフトのバグのせいでなんだかおかしなことが起きたり、インターネット接続の普及によりウィルス浸入の危険も排除できなかった。従って、経理や営業のサーバと直接やりとりするPCなどは、固定的な使い方以外許されなかった。勿論、銀行で使われている端末(PCだが)はインターネットとは隔絶され、単に大型コンピュータの端末装置だった。勿論現在でも銀行はそのはずだ。恐らく銀行内でインターネットに繋がるPCは特定のもののみだろう。

さて、MSは現在Windows10をどう普及させるかで困っているように見える。つまり、WindowsXPでPC-OSに要求される機能性能はほぼ満足されたからだ。8ではスマホ風インターフェースにして失敗、10ではどうなるか?巷では7に先祖帰りとの弁もあるが。我々顧客からすれば、アップデートの都度OS費用のみならずアプリまでも更新しなければならず、使い勝手も再び習熟が要求されることが問題だ。私のように趣味にビジネスにPCを沢山抱えていて、XPから8.1までの歴代のOSが沢山稼働している。正直言えば8.1が最も使いにくい。そういうことから10への移行を躊躇している。ただし、当社のビジネスでは10の活用も欠かせなくいずれ採用せざるを得ない。MSにとってみればOS更新が収益源だからだ。しかし、このままではブラウザ・メール・ワープロ・表計算のみしか使わない普通の人は無料のLinuxに移行してしまうだろう。Windowsでなければならないことは日々少なくなっている。さてMSはどうする?
元に戻る

追記:MSの次の一手は? 2016/7/31

日本マイクロソフト社長平野拓也氏への在宅勤務に関するインタビュー記事だが、

…「実験的に執務室でパソコン(PC)を使わず、ウィンドウズを搭載したスマートフォン(スマホ)にモニターとキーボードをつないで仕事している。これまでPCでできた仕事の8〜9割はスマホで代替できることを実感した。今後はキーボードとモニターが置いてある場所に立ち寄って、スマホだけで仕事ができるようになるだろう」…
とある。

中に、"これまでPCでできた仕事の8〜9割はスマホで代替"とあるが、残り1〜2割が何だろうか気になる。社長がCPUやメモリーを酷使する仕事をしているとは思えないし、社内データベースへのスマホでのアクセスも技術的な問題は無いと思うが?

…MSの日本法人トップでも「脱PC」で仕事する時代なんですね。…
との問いに、

…MSはもはやPCやスマホ、タブレットといった端末の種類でビジネスを考えていない。…
とあり、少なくとも日本MSのトップはこの言からすれば現状も将来をも把握しているようだ。さて、MSの次の一手は何だ?
元に戻る