サティの詩集

思わぬところで桜井良子氏が出現し驚きました。政治論のみならずマルチタレントなんですね!

●サティの詩集 2016/8/19

親父の蔵書に「エリック・サティ詩集」というものがあり、これはもしかしてあのサティかと思って手に取ったが、やはりそうだった。サティについては音楽の時間に習った記憶が無く全く知らなかったが、富士通がFM-TOWNSというPCを開発していた頃、何かの脈絡でその開発者の一人が「サティの著作権がやっと切れたんだって!」と話したとき初めてサティを知った。恐らく当時彼が開発していたソフトのバックミュージックを検討していたのだろう。その後、娘がピアノの発表会でサティを弾いたことから私には身近な作曲家になった。

当時私は子会社で翻訳の仕事をしていたが、新百合ヶ丘にあったFM-TOWNSの開発部門に出入りすることもあった。仕事とは直接関係が無かったと思うが、何度か出張していたから仕事があったかも知れない。TOWNSというPCは今となって考えてみると実に先取りしたPCだった。IBM-PCやNEC-PCにはない画像と音に着目したいわゆるマルチメディアパソコンだった。その後、PCの画像処理プロセッサーと音声処理プロセッサーの性能向上がどんどん進み、TOWNSは終焉を迎えた。これ以外に独自OSだったという致命傷もあったが、当時のアライアンスや著作権の事情を考えれば戦略ミスとは言えないだろう。富士通の技術陣もこれでさまざまな学習をしたことだし。

さて本書を読むと、五線紙の間に詩が書かれている。サティの場合は作詞作曲が同時進行だったようで、いわゆる今でいうシンガーソングライターだ。曲も詩も相当にエスプリが効いており、私のような凡人には素直に受け付けることが困難なものもかなりある。それでもコマーシャルソングなどに使われているものもあるから音楽に興味のない人にも「ああこれね!」と思う曲もあるだろう。本書の訳者藤富保男氏のあとがきに1984年に銀座のヤマハ楽器で彼と桜井良子氏が趣向を凝らした朗読会をしたとある。あのこわもての桜井氏がサティを信奉すると知り大変驚いた。このイベントを知っていれば喜んで聴きに行ったのだが!

最後にどうでもよい話だが私の現役最後の頃、定年退職後は作詞作曲して時間をつぶすことも考えていた。今は作曲用ソフトが充実しており、著名クラシック音楽をパクっても原曲が何だか分からないくらいの曲が簡単にできてしまう。さて、詩はどうするかというと、それも適当な言葉の組み合わせでわけのわからない詩は簡単にできる。そのうち、このいい加減な作品をホームページに掲載したいと思うが、恐らく誰も興味がないだろう。現在は科学技術論文の模倣を見つけるソフトがあるようだが、音楽や詩はどうなんだろうか。暇を見つけて調査したい。
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