NEC、衛星海外初受注より

衛星と聞くと新入社員の頃を思い出します。苦い思い出ばかりですが!
●NEC、衛星海外初受注より 2017/8/2

日経によると上記のタイトルで住友商事とNECがベトナム政府から人口衛星の打ち上げを受注したという。受注額は190億円で打ち上げは2020年とのこと。世界の商用衛星の打ち上げビジネスは米国とフランスに独占されており、日本のシェアは2%に過ぎない。私が新卒で富士通に入社し衛星通信研究部に配属されたが、部課長は果敢に海外マーケットに通信装置の売り込みを図っていた。大勢の優秀なエンジニアに囲まれた私は、初年度は地球の摂動解析プログラム、次年度は地上局のモニターシステムに携わった。勿論末端のビギナーエンジニアだった無能な私が提案できることは皆無で、上司や同僚の指示を十分にこなすこともできなかった。

当時我が国の衛星のマーケットサイズは2千億(*)とも言われ、通信系ではNECと三菱が押さえ、ロケット本体は日産もあったと思う。新聞などによると現在も同様のようだ。私にとって最近のトピックは、ホリエモンが設立した宇宙ベンチャー「インターステラテクノロジズ」の観測ロケット打ち上げ失敗だ。大変残念であり、再挑戦を希求する。もし私が大金持ちならば投資したいところだ。勿論同社は今回の打ち上げであらゆるデータを取得しており、問題点を修正して再挑戦するだろう。アジアでの打ち上げビジネスはインドが先行しているようだが、インターステラテクノロジズがまずアジアの星になることを望む。
 *:衛星通信と豆腐業界は同等の市場規模だったと思う。但し、うろ覚えの数値だが!この数値ではビジネス的に国内マーケットのみではどの会社も生き残れない。

なお私が配属された衛星通信研究部(次年度:衛星通信技術部)はオイルショックとニクソンショックに翻弄され数年後にこの分野から完全に撤退した。但しソフトウェア部門は現在も頑張っている。軌道管制ソフトウェアとコンピュータのコンビネーションでそのビジネスを継続している。今月末には当時の同僚との年に一回の飲み会があり、楽しみだ。一般的に部門が解散状態になると社内で一家離散のようなことになるが、損益的に生き残れる特定の無線事業部門に多くの人が散らばった。私のように社内を転々とし最終的に会社を飛び出した(*)人は少数のようだ。
 *:追っ払われたと表現すべきか?

さて、当時衛星通信は無線通信を征すと言われたこともある。なぜなら衛星数個で世界中の無線通信をカバーできるからだ。しかし、海底ケーブル技術や高い鉄塔を経由するマイクロウェーブ通信技術も発達(*)し、それぞれが強味を生かして生き残っている。交通の世界で自動車と電車と自転車が走り回っているようなものだ。さて現状の通信の状況を述べれば、我々が外国に電話する場合は海底ケーブルを経由している。インターネットも通常海外には海底ケーブル経由だ。PCやスマホでは無線で通信しているように見えるが、一旦PCやスマホが基地局に無線で繋がるとその後は光ケーブルだと考えてよい。衛星通信携帯電話機もあるが、通信費用が高価なので南極探検に持っていくレベルだろう?
 *:通信技術論的にはあらゆるデバイスのスピードが増し、電力が減少し、小型化することで通信コストは下がる一方である。
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