原発事故、その後処理

暴走が始まると今の科学技術で制御できない物には、歯止めが必要だと考えます。勿論、基礎研究は必要で、私はこの技術の延長線上にある核融合技術の完成により人類のエネルギー問題が解決されることを夢見ています。

追記: 2013/10/10

日経に掲載されたGEのイメルトCEOの見解だと、原子力は商業的に成り立たないとのこと。

追記: 2013/10/26

日経より、今夏の電力事情を追記しました。

追記: 2013/11/19

日経朝刊"廃炉「未知との闘い」"より追記しました。

追記: 2014/1/6

原子力工学専門家今中哲ニ氏インタビュー記事より

追記: 2014/1/8

日経の"価格差を読む"より

追記:2014/1/27

この本を読んで、原子爆弾と原子力発電所の核反応に本質的な違いがなく、福島では広島原爆の数百倍もの放射性物質が発生することが分かり背筋が寒くなりました。

追記: 2014/2/14

日経は原発についてさまざまな切り口で取材しており、いつかその結論は収斂していくでしょう。これは日本の課題でなく、地球規模の課題だと思います。

追記: 2014/4/18

原発のゴミについて知らなかった人もいたかもしれません。今回の原発事故により様々な課題が表面化し多くの人が知ることとなりました。今日の記事は、この厄介なゴミについて分かりやすくまとめています。

追記: 2014/5/10

丸山眞男の「軍国支配者の精神形態」は読んでいませんが、いつか読みたいと思います。

追記: 2015/06/14

「ただちに解体撤去せよ」ではなく、今後40年で全ての原発を漸次解体との意見です。

追記: 2015/06/29

ドイツ人の理知性を感じます。私には!

追記: 2015/07/06

この記事を読めば、いかに原発がやっかいなものかと感じない人は無いでしょう。

追記:2015/09/22

難民となった人の心情は、計り知れないものがあります。

追記:2016/1/4

原子力発電は様々な問題をかかえていて、それを解消する技術はまだ先がみえないと思っていたのですが、先が楽しみです。私が生きているあいだに核融合発電が実現すればいいのですが!

追記:2016/7/29

事態が悪い方に向かうというのはよくありますが、当初見込みは単なる見込みで今後いくらかかるのか誰にも分かりません。つくづく原子力発電の危険性が過小評価だったことに怒りを覚えます。私が子供の頃は"夢のエネルギー"だったのですが、今や"悪夢のエネルギー"としか言いようがありませんね。

追記:2016/7/31

原発事故の被災者を国の支援で救済することは当然ですが、その原因である原発を今後も続けることには強く反対します。我々の子孫のみならず人類に対する害毒だと思います。

追記:2016/8/19

いまだ地下水の漏れが止まらないそうです。記事をよく読んでみますと、最初の凍結策から間違っていたとしか思えません。このまま誰も責任をとることなく新たな策への資金投入となり税金の無駄遣いとなるのでしょう。このような無駄遣いがあるから税金を払いませんとは言えない我々庶民はつらいですね。

追記:2016/12/05

新聞社によって、記事の内容が異なることは当然でしょう。恐らく各社の編集者は他紙をさんざん読みまくっていることと思います。

追記:2017/3/12

廃炉への道のりは、全く先が見えないと言っても過言ではありません。デブリがどこにどれだけありどうなっているか、それをどうやって取り出すかなど最も重要な課題が克服されてないからです。既に6年も経っているのまだスタート地点にいるような気持ちになるのは錯覚でしょうか?

追記:2017/4/1

一刻も速く収束させて欲しい事故ですが、今のところ全く先が見えません。収束に必要な期間は40年とも言われてますが、もう既に事故から6年経っています。原子炉跡に芝生が敷かれ子供たちが遊んでいるという状況は何時になるのでしょうか。

追記:2017/6/15

未だ原発事故の解析が進められていますが、さまざまな情報が庶民に伝えられることはいいことです。マスコミも情報を漏れなく庶民に伝えて欲しいと思います。たとえそれに間違があったとしても、後に危険ではないことが分かればハッピーではないですか!

追記:2017/6/22

今日は対照的な記事が日経企業面に出ていたので書きました。

追記:2017/8/16

毎日汚染水が何百トンも溜まっているそうです。溜まる一方の汚染された水をどう処理するのでしょうか?

追記:2017/9/29

湯川れい子氏は原子力に関し私と全く同じ考えだったので引用しておきました。

追記:2017/12/31

米国の情報が多いなかで英国のことが記載されていたのでじっくり読みました。英国も往生しているとのことですね。

追記:2018/9/3

原子力発電の終焉だと思います。私が子供の頃は夢の無限エネルギーだと教わったのですが、核のゴミを考えればその代償はあまりにも大きく人類の負の遺産とも言えましょう。原子力に携わる方には失礼な話ですが、この類の記事を読むにつけ書きたくなる自分に辟易とします。

追記:2020/1/9

いつ収束するか見当もつかない状況が綴られています。未だ帰郷できない人々のことを考えれば何とも言いようがありません。

追記:2020/01/28

一連の経緯を見ると、現場のスキルが素人並みで、作業の本質を理解しないで適当にやっているのでしょう。マンネリ?

●原発事故、その後処理 2013/07/11

福島の原発事故は、発生から現在も続く収束への対応が適宜報道されている。ただ、何かが起きた時の対応が、特に発表が遅れがちなのは「隠したい」という心理が見え隠れすると思われても仕方がない。何が起きても、その時点の状況を逐一発表してもらいたい。たとえそれが単に測定装置の故障だったとしても、受け取る側の我々は"重大な故障でなくて良かったね"と思うだけだ。しかし、"実は既に異常値は分かっていたが、もし間違いだったら混乱を与えかねないので発表しなかった"ということだったら、子供じみた言い訳にしか聞こえない。危ないという可能性があったら避難なり、その準備なりが必要だ。後になって"大事故でした、お知らせが遅れましたが放射能が既に周辺に拡散したので避難してください"では、洒落にもならない。それが、今回の福島の事故だった。

さて、今日の日経によると福島原子力発電所の事故の収束、即ち汚染された発電所を無害の更地にするための費用は、5兆円とのことだ。この数値は、廃炉に携わる大手企業幹部の弁とのことだから、本当のところはもっとかかるかも知れない。いずれにせよ、そもそも過去に前例の無い作業だからこの金額は増えこそすれ減ることはないというのが衆目の一致するところだ。

そこでだが、そもそも本当に原子力発電はコストが安いのか?ということ。原発に関して今の科学技術では、すべてがうまくいっている場合は制御できるが、問題が起きると深刻な状況になることを、スリーマイル、チェルノブイリ、福島とたまたま地球を挟む3地点で重大な事故が起き、それが証明された。次に何かが起きるとすれば本当のカタストロフィになるだろう。それは、単純な設計ミスや操作ミスのみならずテロや航空機墜落などが原子力発電所を基点として起きた場合などが考えられる。そもそも航空機はどこに落ちるか分からないことは、過去の事故を見れば明らかだ。但し、確率論的には、航空機が原子力発電所の炉心を事故で直撃する頻度は数値化できないほど低いとは思うが。ただ、テロは怖い。私もおのぼりさんの一人として屋上に登ったことがあるニューヨークの貿易センタービルが2棟とも無残にも崩壊したのだから。

最新の技術で完璧に制御できないもの、つまり一旦暴走すると手に負えないもの、その際の被害は計り知れないもの、その原発は止めるべきというのが私の見解である。原子力関係の方々にとっては、死活問題だから大いに反論もあろう。マスコミなどではコスト面での議論が活発だが、世の中には金で償えないことも多々あるのだ。そもそもくどくどと述べたように原発は安いのかという事も明ではない。今回の事故では、多数の死者こそ出なかった、しかし事故による難民状態の人達が未だ大勢おり、その状況は悲惨であることを決してお忘れなく。皆さん、決して他人事と思わないように、なぜなら全ての原発は国内に均等に設置されており、この狭い日本では全ての国民のリスクは同一と言っても過言ではない。明日は我が身ですぞ。老婆心からでなく!
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追記: GEのイメルトCEOの原子力に対する見解 2013/10/10

(質問)GEが原子炉を設計した東京電力福島第1原子力発電所の事故後、原子力ビジネスには逆風が吹いている。

(回答)「私に言わせれば、いまの原子力は『国家事業』だ。つまり、商業的には成り立たないということ。ただ、我々は原子力事業を維持し、将来への投資も続ける。将来、大きな役割を担わないとは言い切れないからだ」
とのこと。つまり、商業的に成り立たない施設を日本では全ての電力会社が抱え込んでいる。勿論、米国のエネルギーコストは日本よりもはるかに低いことなどから異論もあろうが、桁違いということもあるまい。つまり問題はリスクに対する算定基準なのだ。いくら電力会社が言い訳をしようが、今や殆どの日本人は原子力発電が安いとも安全とも思ってなく、原子力発電所の近辺に住もうという人もいないだろう。

追記: 猛暑の夏 電力なぜ足りた? 2013/10/26

今日の"知求見聞 NIKKEI PLUS1 猛暑の夏 電力なぜ足りた?"の記事によると、原子力発電がゼロでも、今夏は電力消費ピーク時を乗り切った。主な要因は、照明がLEDに変わったことなどで家庭や企業の電力消費が減ったこと、火力発電などが増えたことである。さらに着目すべきは企業の自家発電能力だ、国内にある千キロワット以上の発電設備を合計すると5300万キロワットで、関西電力の供給能力を上回るとのこと。つまり、我が国には危険性の高い原子力発電の差し迫った必要性は無い。

追記: 廃炉「未知との闘い」 2013/11/19

今日の日経朝刊では、「・・・30〜40年かかる原子炉解体作業が本格化する。事故で壊れた原発から傷ついた燃料を取り出すのは世界的にもほとんど例がない。・・・」と、原子炉脇のプールから使用済み燃料を取り出し始めた。読み進むと、「・・・冷えたらプールから取り出すが、使用済み核燃料の再処理工場や処分場が整備されておらず、共用プールで保管し続けることになりそうだ。」とのことだ。一方、残り1〜3号機の燃料回収の見通しは立ってない。今夏発表された廃炉実施計画だと最長40年とのことだったが、現状では何時福島原発跡地が安全な更地になるか分からない。

追記:今中哲二氏のインタビュー記事より 2014/1/6

ウェブを見ていて、ふとこの記事に当たった。インタビュアーの的確な質問と、原子力専門家の論理的な説明が、我々素人にも大変分かりやすい内容だ。この記事の「99年にJCOの事故が起きた時、我々研究者にとっては青天の霹靂でした。まさか、あんな事故が起きるはずがない・・・今回も根本的な反省をしなければ、必ずまた事故は起きます。」との意見。起きるはずのないことが何かの不都合で起きるのが事故であり、原子力に限って絶対起きないとは言えない。今中氏はJCOの事故をスリーマイル、チェルノブイリと同列と考えており、それからすると地球を取り巻く3地点での事故が日本では再び福島で起きたことになる。なお、記事には福島の事故直後米国が独自に軍用機を飛ばして調査したことも記載されている。

追記:日経朝刊"発電燃料と電力"より 2014/1/8

電力会社はその公益性から、コストに利益を上乗せして売ることができる。それを頼りに原子力発電のコストを曲げてないかというのが私の意見だ。それとは別に、きょうの日経には各燃料毎の発熱量とコストがグラフになっていて、石炭が最も安く4円、重油が16円で最も高い。過去10年の経緯でも、石炭が最も安い。このグラフを見る限りでは主燃料を石炭にすれば最も良いが、その理由は書いてない。今後この連載記事を見守ろう。もし石炭にPM2.5のような問題があるとすれば、それはコストになるだろう。勿論、原発事故の収束経費もコストになろう。

追記:「原発事故残留汚染の危険性」武田邦彦著を読んで 2014/1/27

いまさらここで説明すべきことではないかも知れないが、素人のメモとして記載しておく。原爆とは、ウラン235という物質の原子核に中性子を当てると分裂し、二個か三個の中性子が発生し、同時に大量の熱も出る。それをねずみ算式に一気に起こすと原爆となり、ゆっくり起こせば原発となる。つまり原爆と原発は全く同じ反応が起きているが、早いか遅いかの違いしかなく、同量のウランからは同量の放射性物質が生成される。このことは概念として知っていたが、この書を読んで再認識した。

さて問題の事故だが、広島の原爆では数十キログラムのウラン235が使用されたが、福島原発の燃料は351トンだという。濃縮度の違いを換算すると広島の原爆に比して14トンとのこと。つまり広島原爆の数百倍のウランがあるのだ!理屈上は爆発的燃え方をしないにせよ、それらが燃えると広島の数百倍の放射性物質が発生する。万一、これらが拡散することを考えると寒気がする。今回はその万一が起き、放射性物質の一部が拡散したのだ。

この本の著者は、学者で原子力の専門家でもある。著者は「核反応、核分裂、臨界、核爆発」を全てまとめて「核爆発」と定義している。つまり、用語を使い分けると話が混乱し、安全性の議論から読者が逸脱するからだ。この本は勿論3.11の事故の後に出版されたが、なぜ今回の事故が起きたか、それまでの事故はどうだったかを素人に分かりやすく説明している。あとがきには"私たちは今後、どんなことがあっても「科学的に間違っていること」を許さない強い信念が求められるでしょう。"とある。つまり、定見の無い官僚や学者などに振り回されないように我々庶民がしっかりせよということだ。

追記:日経"試練の原発輸出"より 2014/2/14

この記事は、13日、14日と連載されており、13日は、日立、東芝、三菱重工の最近のヨーロッパにおける原発受注状況が記載されている。原発一基の受注額は5000億円前後とのことで、技術力のみならず資金力も豊か、つまり中小企業では手も足も出ない産業ジャンルであることが理解できる。14日は、原発の圧力容器の世界シェア8割を占める日本製鋼所が受注低迷に喘ぎ、原子力産業への人材供給元の一つ東京大学原子力専攻修士課程の志願者数は、11年度が109人、13年度は64人と半減した。若い人達は、敏感だ!

追記:日経"原発ゴミ地底に10万年"より 2014/4/18

この記事を読んで、それでも原発を推進すべきと考える人はどれくらいいるのだろうか?原発のゴミは何万年も放射能を出し続けるとのこと。既に国内に1万7千トンあり、原発を稼動すれば増えるのだ!いつか放射能を減らす技術が開発されるとの期待も記述されているが、それが開発されるまでゴミを出さなくすべきと思う。テクノロジは人類に多くの益をもたらしてきたが、こと原子力に関しては事故の際の被害が桁違いに大きくこのまま世界中で増え続けることは地球にとって、すなわち人類のみならず生物にとってマイナスだろう。

追記:日経"知見の組み合わせ 巧みに"より 2014/5/10

この記事は2011年7月7日の夕刊だが、エッセーの題材にと思いながらそのままになっていたスクラップが出てきたので追記しておく。社会学者の竹内洋氏は、今回の原発事故の関係者が"想定外"と責任回避することを、東京裁判で軍部指導者が"権限外"と責任回避したことと同様であると指摘する。丸山眞男は東京裁判の記録から戦時中の日本の指導者の問題点を「無責任の体系」という言葉で解き明かしたが、その"体系"が綿々と続いているのだ。もし彼が存命ならば、ほぼその意見は予測できる。蛇足だが、私はある財団法人に勤めていたことがあり、理事長は丸山眞男のゼミだったそうだ。丸山眞男は自ら昭和の荻生徂徠や福沢諭吉などと称し、政治学のみならず庶民の旦那芸にいたるまでありとあらゆる事柄を分かりやすく説き明かしたという。但し、これは理事長と二人っきりの飲み屋の席での話だったので裏づけは取ってない!

追記:日経朝刊:チンパンジーと博士の知の探検より 2015/06/14

京都大学霊長類研究所教授松沢哲郎氏のエッセーだが、原発について氏の意見が出ており、私と同じなので引用した。チンパンジーとは何の相関もないとも考えられるが、最後の段落は

「繰り返すが、現在、原発は1基も稼働していない。すべての原発は原則40年で次々と廃炉にしていく必要がある。いかに災害から身を守り、被害を最小限に食い止めるか。それを考えたとき、原発を持ち続け、半減期のきわめて長い放射性核廃棄物を保持し続ける危険とコストを、日本人はもう一度深く考えるべきだろう。」

とある。これは日本人のみならず地球上の全ての生物の問題だ。寺田寅彦のエッセーを引用し、我が国特有の自然災害を踏まえた課題を述べているところは、我々日本人の「喉元過ぎれば」感覚への警鐘だろう。

追記:日経朝刊:ダイジェストより 2015/06/29

「ドイツ南部の原発停止」との表題で、老朽化したバイエルン州の原発を27日に停止したとある。現在ドイツ国内で稼働中の原発は8基とのこと。今後も順次停止される予定で、新規稼働計画は無い。論理的で生真面目とされるドイツ人が原発の危険性を払拭できず縮小しているのだ。我が国も原子力発電所は順次廃炉にすべきと私は思う。

追記:日経、福島廃炉、前進の条件より 2015/07/06

先月から上中下と福島原発の廃炉について特集しており、注意深く読んできた。結論から言えば、見通しはつかずということだ。例えば、デブリ(メルトダウンしたペレットの塊のこと)の取り出しは2021年末までに着手とのことで、その取り出し方法は2018年後半に確定させるそうだ。いずれにせよ、今の時点でデブリがどうなっているか詳細は不明とのことだから、上記の日程は私には暫定目標や努力目標としか思えない。これまでの結果がそうだったように五里霧中の中で手をつけられるところから片付けていくのだろう。

一方、東京工業大学では10月から30人の大学院生を対象に廃炉関連の講義を開くそうだ。私が別のエッセーで書いたことが実際に行われようとしていることは喜ばしい。但し、私が調べた範囲では、過去に国内で廃炉作業が終わった原発は無いようだ。経験が無いことを生徒に教えることは困難だろう。正常に廃炉作業が終了した原発やスリーマイルやチェルノブイリの経験を工学として纏め上げることが必要で、そのノウハウは外国企業が持っている。国内の識者だけでかたまらず、大きく門戸を開き、効率よく失敗のないように廃炉作業を進めて欲しい。多くの人が自宅に帰れなく、目途もついてないのだ。

追記:福島原発はいま 2015/09/22

上記表題で日経朝刊に事故を起こした福島原発の廃炉作業状況を特集している。工程表には、汚染水、使用済み核燃料、溶けた核燃料、廃棄物と分類しこれまでと今後を記述している。40年間で全ての作業を終え更地に戻す計画だが、汚染水の元となる地下水の流入はまだ半分にも減らせてないとのこと。放射能の少ない瓦礫の取り出しは順調に進んでいるようだが、メルトダウンした核燃料(デブリ)の取り出しは目途がついてない。よく知られていることだが、強烈な放射能は電子回路を誤動作させたり、物質を早く劣化させる。従ってリモコンロボットでやればいいだろうと言っても、強度の放射能に耐えられるロボットは無いのだ。これまで考えられなかったような技術開発が進まないと、取り出しは無理かも知れない。その際には、チェルノブイリと同様に分厚いコンクリートの棺桶で覆い、大陸間弾道ミサイルが命中しても持ちこたえるような対策も考えられよう。いずれにせよ、数年後にそれまでの実績からその後の工程も明らかとなろう。つくづくと原発の怖さを感じ、難民となった被災者の心情を察する。

追記:"凍土壁に新たな課題"と"113番新元素理研の決め手は"より 2016/1/4

今朝の日経の科学技術面に対照的な記事が並んでいた。初めて日本に元素の命名権が与えられたことの決め手と、福島第一原発の汚染水問題には未だ目途が立ってないとのこと。特に個人的に驚いたことは、新元素生成の化学反応過程だ。今回理研が発見した113番目の元素を生成する方法は30番の亜鉛を83番のビスマスに当てるが、その過程で起きている科学現象は"核融合反応"とのこと。核融合は夢の技術(*)と思っていた私には青天の霹靂だった。現在の技術で瞬間的に炉内で核融合を起こせることを知り驚きとともに嬉しくなった。これが連続できればエネルギー問題は解消する。科学者技術者の一層の奮起を期待する。エネルギー問題の解消は、食糧問題の解消となり、最終的に貧困問題が解消され、世界の紛争解決につながるはずだ。
 *:放射能の発生が極端に少なく、暴走もしないという。核融合炉が実現すれば、産油国の優位性は無くなり、世界の情勢は一変する。そんな小説を書きたくなる。

追記:廃炉費用 国に支援要請 2016/7/29

上記タイトルで今朝の日経に報道されている。これを読み、大変腹立たしく思った。事実上原子力発電の破綻だ。識者の発言は多々あるが、今だ事故の収束は見えないのである。第3面には"廃炉最難関に光明も"とあるが、単に2号機のメルトダウンした燃料の存在位置が確認できたに過ぎないのだ。この識者の見方だと、2号機の溶融燃料はスリーマイルでの方法で取り出せるかも知れないとのこと。ただ問題の1号機と3号機は目途がつかず、事故の収束にかかる費用は不明だ。我々庶民は我々の税金がこれに使われることを頭に叩きこんでおかなければならない。

追記:福島廃炉へ公的基金より 2016/7/31

日経朝刊のトップ記事は上記タイトルである。これによると国から東京電力ホールディングスに対して9兆円の無利子資金枠で追加支援検討とある。賠償や除染にかかる費用は上振れとのこと。さりとて国が支援しなければ東電は倒産し、賠償計画も頓挫するだろう。記事によると賠償費用の一部を東電以外の大手電力会社も負担する仕組みを作ったとある。恐らく多くの国民は知らないだろうし、私も知らなかった。いずれにせよ、東電を倒産させない、原発を止めないという国の方針である。一方、事故を起こした原発の廃炉のみならず、現在稼働中の原発の廃炉も見通しが立たない。東電の倒産は阻止すべきだが、原子力発電を推進する国の政策は間違っている。

追記:凍結壁が凍結しない 2016/8/19

昨日のテレビ朝日のニュース番組でもこの問題について特集され、日経にも報道されているが、危機的な事態の収束に対して"早く効率よく確実に"という常識の欠如だろう。なぜそうできなかったかは、政府資金即ち税金を使うために研究開発という理由が必要だったという?まるで後付けの言い訳である。冷凍機器メーカーとこれを決めた委員がつるんで不徳をなしたと思うのは私の勘違いか?放射能漏れの問題は危急の課題であり、研究課題ではない。これまでを振り返ってみると、この類の出来事が多すぎる。これは日本人の特性か?そうは思いたくないが、先の戦争終結までの過程といい、今回の原発事故といい似たような話がありすぎとも思いたくなる。オリンピックで金メダルが沢山取れたと浮かれている時に、これを発表することは隠したいという意図が見え見えだと思うのは下衆の勘繰りか。

追記:米国で訴訟騒ぎになっている? 2016/12/05

東京新聞の年末一か月間試し読みセールのチラシが入っていたので、12月と正月のみ読むことにした。日経は商売の関係で止められず、かといって毎日二紙を読む時間もない。しかし年末のみということで試し読みをしている。さて、日経と東京新聞の中身はかなり違う。もともと経済紙と一般紙では違うとは思っていたが日経に無い記事もある。勿論、その逆もあるが。さて、今日の東京新聞で大変驚いたことがあり、福島原発事故に関することなので記載しておく。

東日本大震災の際に福島原発事故で被ばくしたとして「トモダチ作戦」の空母に乗っていた乗組員が東電などを相手に集団訴訟を米国で起こしているという。初耳だったのでここに記載する。2012年に提訴され、現在は連邦高裁で米国での訴訟を継続するか審議されているとのこと。米軍は被災直後に横田基地から三沢基地に戦闘機を飛行させ、福島原子力発電所の放射能レベルを測定していたことから、その危険性は把握していたはずだが、一体どういうことなんだろう?米国で裁判をすることになれば我が国や東電にかかるコストは計り知れない。米国の弁護士はとかく仕事を増幅させる傾向がある。単なる個人的な経験にすぎないが!

追記:1日6000人従事 2017/3/12

福島第一原発の廃炉作業に1日当たり6000人が従事しているとのこと。現場を見たことがないので何とも言えないが、少々不遜な言い方かもしれないが恐らく壮観だろう。6000人という数は大企業の従業員数に匹敵するからだ。記事は三面の見開きを使って住民の現状などを取材しているが、30〜40年先とされる収束時期を考えれば避難住民は心中穏やかではないだろう。新卒者が就職から定年退職を迎える長い期間である。このまま単純に6000人が30〜40年間働き続けることはないと思うが、労務費を考えてみた。月給40万円と仮定し6000人で288億円/年、それが40年だと1兆1520億円だ。さらに、2、3、4号機の廃炉作業も考えればとてつもない人件費となる。報道される様々な困難を鑑みれば、現時点で廃炉の見積もり額は希望的費用と言えよう。

追記:川村・東電 内なる敵より 2017/4/1

今日の日経朝刊一面は「川村・東電 内なる敵」である。内容は東電の会長に川村隆氏、社長には小早川智明氏がなり、現社長の広瀬直己氏は副会長になるとのこと。詳細は記事に譲るとして、副会長ポストを新設して福島担当として広瀬氏を残すことで妥協したとの段落に目を引かれた。三村氏が「広瀬さんはここまで引っ張ってきた。引責は良くない」とのことで副会長のポストを作ったとある。

これを額面どおりに取る人はどれだけいるのだろうか?私には「罰として何時になったら終わるか分からない"トイレ掃除"をやらしておけ」と聞こえる。一方社内に巣くう上を向いて仕事をしてきた保守派には牽制球だろう。私の長い会社生活での経験では、とんでもない上司に仕えたことが一度ならずもあるが、私以外は全員ひれ伏していた。そういう組織は結局壊死し、その立て直しは困難だ。今回のショック療法的人事は、東電の一部幹部社員にとって心穏やかなことではないだろう。

追記:セシウムの粒 事故知る鍵より 2017/6/15

日経(2017/6/11)のサイエンス欄の記事である。これによると拡散したセシウムの中に溶けたコンクリートなどと反応して微小なガラス球になったものがあるそうだ。これをセシウムボールと命名しており、不思議なことに全てのメルトダウンでこのような形のものが形成されるのではなく、3号機で3月15日11時1分に起きた水素爆発で拡散したとのこと。各地の浮遊粉塵観測装置のフィルターについた粉塵を調べたことで判明。記事の図では9回の爆発でどれだけの粉塵がどこに飛んだかを示しているが、2回目の飛散では群馬を経由して東京に飛んでいる。福島と東京間は約250Kmだから、全国に設置された原発を踏まえれば全ての原発が同時に事故を起こすと、ほぼすべての国民が放射能の影響を受けることになる。私の子供の頃からの近所の知り合いで東京で建築士を営む先輩は、福島の事故の際に孫を連れて何か月も香川県の実家に避難していた。当時私は過剰反応と思っていたが、今となってみると彼の判断は正しかった。今回の事故で広く知られるようになったが、成長期の乳幼児には微量の放射能でも致命傷になるからだ。

追記:バイオマス発電と福島第一原発の状況 2017/6/22

日経の企業面だが、対照的な内容が並んでいたので書いておく。初めて知ったことだが、木を燃やして出たCO2は所謂地球温暖化ガスにはカウントされないとのこと。私は自身が糞や尿を排出する都度、温暖化を助長し申しわけないと思っていたが、カウントされないようだ!東電では火力発電に木質ペレットを混ぜて発電するそうだ。つまり石炭から出るCO2は元来地中にあったものだが、木を燃やして出るCO2は元々木が光合成で作ったものだから差引ゼロになるとの計算だ。現在困っているゴミ処理だが、単に重油で燃やすのでなく発電に活用して欲しい。そうすれば温暖化ガスの発生の一部は防げる。私が住む宮前区ではせいぜい派生する熱を温水プールに活用するレベルにすぎない。

一方、問題の福島第一原発だが、敷地の95%で防塵マスクが不要になったとのこと。但し核燃料の除去はこれからである。過去に例のないデブリの取り出しだが、万一無理だとなればチェルノブイリのように巨大石棺が出現する。古墳時代に出現した巨大古墳のようなものが出来て、50年後には修学旅行生が原発の遺物として見学に来ることもあながち冗談でないかも知れない。東電も政府もそれだけは避けたいと考えているはずだ。放射能放出とCO2放出の違いはその危険度がケタ違いなのである。

追記:凍土壁の全面凍結認可 2017/8/16

日経によると、凍土壁による漏水防止効果ははっきりしないとのこと。それにもかかわらず最後の未凍結部分7メートルの工事を実施するそうだ。記事を何度か読んだが、この工事を実施すれば地下水の侵入が止まるとは限らないとある。数値としておかしな点は、当初の原子炉建屋への地下水流入量は400トン/日、現在130トン/日、一方1〜4号機の周辺40か所の井戸から一日400〜500トンの地下水を吸い上げていることだ。これでは凍土壁の効果が評価できない。私なら一時地下水の吸い上げを止めて凍土壁の効果を見るべきと思うが、何かの支障があるのだろう。図から予測すると、今回の工事を行い第一原発を囲む凍土壁が完全に凍結すると流入量はゼロになるはずである。但し、上記の数値は漏洩があるとしか思えない。凍土壁の建設に345億円、維持に数十億円/年である。最初からコンクリート壁を作れば安く速く確実にできただろう。無駄な税金を投入したものだ!事象からいうと誰かが「ごっあんです」と言い、我々庶民は税として吸い取られている?

追記:湯川れい子氏の意見 2017/9/29

日経の私の履歴書によると湯川れい子氏は、東北大震災時のシンディ・ローパー(*)日本公演について書いているが、最後に

…私はもともと原発には反対だった。人類は水や火を使うことによって文明を発達させてきた。でも水も火も一端荒れ狂うと人間の手に負えなくなる。まして原子力が牙をむけば、災禍は水や火とは比べものにならない。推進派の人たちは「原発は安全なクリーンエネルギー」と主張し続けてきたけれど、やはりそうではなかった。

私には孫がいる。孫やその次の世代に安心な世の中を手渡したい。そのためにも原発を再生可能な自然エネルギーに置き換えていくべきだと思う。…

とある。実にそのとおりだ。自然エネルギーは現時点では高価である。しかし人類そして生物の将来を考えれば結局は安い買い物になろう。

蛇足だが、このカラムを読んでいて、…一端米軍の横田基地に着陸…とあり、"一端→一旦"の間違いに気づいた。著名新聞を読んでいて誤植に気付くことは年に一、二回しかないが、職業病的な自分の気質が嫌になることがある。勿論私自身の書き物に間違いは多々あるが、気付かないことが可笑しい。
 *:音楽好きでシンディー・ローパーを知らない人は無いと思うが、私にとってシンディー・ローパーを思い出すのは、もう数十年前だが同僚の女性Xさんが風邪をひいて出勤してきたときのことだ。しわがれ声で「シンディー・ローパーです!」と言った。彼女はアラビア語と日本語のバイリンガル、頭脳明晰で美人、気が利いた洒落がお得意だった。

追記:英核施設、解体に120年より 2017/12/31

今年最後の日経、何を書いているかと読んだが、英国の原子力施設の解体に興味を持った。英国は核保有国で1952年に最初の核実験を実施し、それに使われたプルトニュームなどはこの施設で製造されたようだ。ここには原子炉からなんから原爆を作る全ての装置や施設が整っていたが、その施設が1981年に閉鎖され解体撤去作業が進行中とのこと。注目すべきはその完了が2120年で、勿論"目標"であるとのこと。技術論からすれば、この類の作業では未知の不都合が現れ早まることはあり得ず、「大量の高濃度汚染物質の最終処分地は未定で、今後のコスト増をもたらす可能性がある。…」とある。これを踏まえれば福島原発の収束は100年先でも目途が立たずなど、あながち冗談ではない!この記事を読んだ原発推進論者はどう考える?

追記:もんじゅ廃炉 最初の難関 核燃料取り出し開始 2018/9/3

日経朝刊によると"高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の30年に及ぶ廃炉作業が本格的に始まった。"とある。これからすると30年で終わる予定だが、本当にそれで終わるか疑問だ。上述のイギリスの廃炉計画が100年の目標だ。イギリスの施設とは規模も内容も違うが、本質的な違いは無いだろう。一方、もんじゅは問題が頻発した原子炉であり、他には使わないナトリウムという厄介な物質を冷却剤に使っているなど、恐らく一筋縄では収まるハズもない。30年計画が結局100年かかりましたなどと、もんじゅでも勿論福島原発でも遅延しないことを祈るばかりである。

記事の写真には「核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら」とあり、頭髪真黒の若い人たちが写っている。彼らの多くは東京大学や京都大学の原子力工学科出身者ではないだろうか?夢を抱いて原子力工学の最前線で働いてきた彼らの胸に去就するのは何かと考えてみたが、ここで書くのは失礼だろう。

追記:福島事故の見通し 2020/01/09

ながく復興状況を新聞などで見てきたが、喉元過ぎれば的世相は否めない。しかし、ほとぼりも冷めたので今後はドンドン原発を推進しよう(政府を除き)でないことが私には少々救いである。さて、年末年始は東京新聞のセールスマンにせがまれ、30日間購読している。東京新聞の良いところを挙げれば、福島事故の復興状況を毎週毎月とまとめていることだ。それぞれの原子炉について細かく状況を伝えているが、かなり興味を持って見ないと読み取れないだろう。発生から8年も経つが、結論から言えば完全復興は全く見通せずという。メルトダウンした核燃料(デブリ)に近づくと人は数秒で死に至り、そのデブリにやっとクレーンを使って触る程度に近づいたそうだ。未だ自宅に帰れない人も多くおり、目途もたたないことは残念だ。

原子力発電に代わる手段として、我が国では化石燃料が主だ。一方、昨年40日間ドイツ旅行の際目にしたのは多くの風力発電機である。3年前イギリスを旅行した際も同様であった。我が国も風力発電機を見ることができるが、はるかに少ない。今後は再生可能エネルギーの拡大を図り、それが化石燃料の無い我が国に合っている。

追記:伊方原発事故に思う 2020/01/28

Googleで"伊方原発事故"とサーチするとこの記事が筆頭に出てきた。よくまとまっているので経緯などを一部引用する。恐らくGoogleの編集部もこの記事に着目したのだろう。

福井新聞D刊:2020年1月26日 午前6時40分

伊方原発巡る最近の経過として

・2018年10月27日 四国電力伊方原発3号機が再稼働
・19年8月16日 原子炉補助建屋でポンプ点検中、弁のふたと弁棒のすき間に鎖が巻き込まれて弁の操作ができなくなる
・9月5日 原子炉補助建屋地下の放射線管理区域で、緊急時に冷却水を原子炉に供給するポンプから発煙
・6日 テロ対策施設の工事中、クレーンでつり上げた鉄筋が荷崩れし一部落下
・12月26日 定期検査で3号機停止
・20年1月12日 原子炉容器上部で燃料固定装置を引き上げようとした際、制御棒1体を一緒に引き抜く
・17日 広島高裁が運転を認めない仮処分決定
・20日 使用済み核燃料プール内の燃料をクレーンで移動させた際、燃料落下を示す信号が発信
・25日 一時停電トラブル発生

とある。

これを読み何を思うだろうか?もう命乞いするような歳では無い私だが、背筋が寒くなる。制御棒を引き出せば、原子炉の制御ができなくなり暴走することくらい私でも知っている。今回は1本抜いたようだが、もし全部を取り出していたら炉はメルトダウンし福島のようになっていただろう?そんなことは無いと言いたい方もあろうが、あり得ないことが起きるのが事故である。広島高裁は伊方の再稼働を認めなかったが、裁判官はまともな判断をした。四国電力は現場レベルで十ニ分な勉強と訓練をし、経営陣自ら原子炉と一体となりお守をすべきである。私は、全廃炉が適切と思うが!
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