TPP参加と、農地の開放を求む

終戦後の農地解放は、戦後十数年は良い結果を生んだと思います。しかし、その後それが足かせとなって、農家は疲弊、族議員などは栄えるという皮肉な結果になりました。

今も大勢の農民(本当に農民なのでしょうか?)がTPP反対を叫んでデモをしていますが、自らの頭で考えているのでしょうか、真意をはかりかねません。

追記:2013/11/9

食料確保の政策が、真逆の結果を引き起し、誰も責任を取らず是正もせず、長く続いていることに怒りを感じます。

追記:2013/12/10

今日のガイアの夜明けは、私の意見と全く同様の内容だったので、我が意を得たりと思いました。

追記:2014/1/5

日経朝刊の"関税撤廃は「99年後」?"を読んで驚きました。西村康稔内閣府副大臣の弁ですが、狂気かとも聞こえます。

追記:2015/02/20

何でも解放すべきとは言いませんが、過度の保護が適正な成長を阻害するというのを皆さんが知っているはずです。

追記:2015/03/29

米国で西海岸から東海岸に飛ぶ際に、砂漠の真ん中にまんまるの農場を見ることがあります。あれが、地下から水を汲み出し、地面に撒いている農場です。勿論、地下水は無限でなく、大量にくみ出せばいずれ枯渇します。

追記:2015/07/21

ハーバードの先生の弁です。TPPの交渉が成立することを望みます。

追記:2015/10/08

農業の将来に光が射しはじめたと思います。競争力を持った勤勉な農民が我が国の農業を立て直すチャンスでしょう。

追記:2015/10/09

今日は、たまたま港北の阪急でばったり大昔私の隣に座っていたK部長とお会いしました。何度も握手して、懐かしい話になりました。さて、目下の課題はTPPですが!

追記:2015/12/30

甘利大臣の奮戦記は、読んでいて胸のすく思いです。引き続き農業関連の縛りを解き、大勢の若者が集まる産業に育てるべきでしょう。今や食糧問題は増え続ける人類の緊急課題です。あらゆる紛争は、貧困すなわち食糧問題に行きつきます。
●TPP参加と、農地の開放を求む 2013/06/23

日本の農業は、米の関税778%がその実態を示している。つまり、農家を守るという名目で米の輸入を阻止し、農家が生き残ったということだが、本当か?それにより族議員、役人、農協は繁忙だが、農家は潤ったのか?逆に衰退し、後継者のいない多くの弱小農家ができてしまったのではないか?終戦後の農地解放という錦の御旗の元に、それにぶら下がる人達が農家を飼い殺しにしたのでは?本当に日本の米には国際競争力が無いのか?カリフォルニア米は日系移民が耕作を始めたそうで確かに美味い。しかし、米国は日本人が求める品質と量の米を輸出できるのか?カリフォルニアを舞台にした西部劇では、水争いがよく出てきた。米作には大量の水が必要だが、全ての日本人の胃袋を満たすだけの量と品質の米を米国は日本よりも安く生産出来るのか?

今日の日経には、オランダは米国に次ぐ農業輸出国と報道されている。オランダは国土が狭く風車を利用した干拓により農地を増やしたと子供の頃社会科で習った。そもそもそれほどの小国に輸出するほどの作物ができることが不思議だ。そういえば、近くのスーパーにオランダ産表記のパプリカが販売されている。ヨーロッパから運んできて国産のパプリカと勝負できているが、一体どうなっているのだろう?記事によると、農業に関連する遺伝子研究などを行う3500人の研究者が在籍するリサーチセンターを筆頭に、多くの企業やベンチャーが活動しているそうだ。

我が国は、大手食品会社に研究部門を、著名大学に農学部を抱えているが、日本の農業技術はそれほどまでに諸外国に劣るのか?この記事によると「オランダは日本と同様、広大な耕作地があるわけではない。農業と科学技術や革新的な生産体制を組み合わせ、米国に代表される大規模農業とは一線を画す農業の姿を目指している。」とのこと。我が国の農業研究者にはいっそうの奮起を期待する。日本では過去半世紀、農業以外の分野が輸出を牽引してきた、しかし今世紀は食料生産がキーワードだ。世界の人口は100億超えが目前であり、飢餓はアフリカだけの問題でなく地球レベルのことだ。さらに言えば、食料が争いごとの種になることは歴史が証明している。我が国は、夏は高温多湿、冬は降雪という豊富な水資源を持つ自然条件と、真面目で几帳面な国民性を生かした近代農業を始める好機到来である。

今後の農業の発展はTPP参加に帰するだろう。競争なくして良い商品やサービスは残らない。そもそも競争を避けた自縛の結果が今の日本の農業なのだ。元来地産地消に最も適応する商品である農産物が外国産に席巻されようはずが無い。貴方は外国産の農産物を安いからと好んで食べるか?一方、第二の農地解放(*)も焦眉の急である。この二つの制限を解くことで我が国の食料生産は量のみならず質(技術)も世界レベルに達するだろう。やる気と能力を持つ農業起業家を育て、農産物輸出産業を現出させ、自動車と米と茄子を同時に輸出するのだ。我々は元来真面目で几帳面な日本人である。怖れるものは何も無く、もう一刻の猶予も許されない。
 *: 農地売買の自由化。
元に戻る

追記:日経朝刊の記事から 2013/11/9

コメの減反政策を5年後に廃止とのこと。私には"やっと取り掛かるのか!"との感覚。減反政策廃止のみでは、焼け石に水かも知れないが、税金の無駄遣いを止めることは評価できる。この記事によると、コメの需要は1963年がピークだったが、1970年に減反が本格的に始まったとのこと。今となってはどうとでも言えるが、1970年に米輸出入の自由化に着手すべきだった。そうしていれば効率化集約化が進み、今頃は米専業農家が世界中に米を輸出していただろう。食料確保のスローガンを掲げながら、それとは逆に毎年自給率(*1)を減少させていたのが現在の農業政策だ。農業関連数値の遷移がそれを物語っている。為政者の無策とこの政策にぶら下がるステイクホルダーを叱る。さて、今後の食料生産政策と"第二次農地解放"(*2)の目処は?
 *1: 現在39%、先進諸国で最低。
 *2: 筆者の勝手な造語だが、農地売買の自由化。

追記:ガイアの夜明けを見て 2013/12/10

今日のテレビ番組:ガイアの夜明けはTPPと農業をキーワードに取材していたが、論調はほぼ私の意見と同様だ。なお、JAグループの総帥、全国農業協同組合中央会の万歳章会長の"高々数農協の反抗にはコメントしない"というコメント、それとここに映されたJAの事務所が大変立派だったことには少々驚いた。番組ディレクターの意図は、これを強調することにあったのだろうが!これを見た末端の農民はどう考えただろうか?彼らの労働の結果が、JAトップの給与や立派な事務所経費になっていると考えたことがあるだろうか?

追記:西村康稔内閣府副大臣の弁 2014/1/5

今朝の日経には驚かされた。西村氏は米国通商代表部(USTR)のフロマン代表に関税撤廃の時期を「99年後なら関税をなくしてもいい」と伝えたとの事。フロマン氏にしてみれば質の悪いジョークとしてしか捉えられなかっただろうが「現実的な年数を示してほしい」と真面目に返答したとのこと。イギリスが潰れかかった清国を相手に香港を強制租借した際の99年という数値を、国際会議で出して欲しくない。日本人の代表として、常識を踏まえ誠実に発言すべきである。

追記:TPP交渉について2015/02/20

いささか旧聞になるが、1月13日付けの日経:経済教室に、"正念場のTPP交渉"との表題で国内産業保護は結局その負担が消費者にかかることを分かりやすく説明していたので追記しておく。「…消費者は、高い国内価格を許容するという形で間接的に国内生産者に補助金を払い、かつ輸入品の価格が上がっている分も負担させられている…」との記述である。実に分かりやすいロジックである!つまり増税による直接的な補助金の方が、消費者には負担が軽くなるのだ。素直に考える人には解りやすい説明だ!ただ、解らない人にはどう説明しても解らないだろうが!

追記:日経、日曜に考える「水はあと一年分」より 2015/03/29

カリフォルニア州で水不足が深刻さを増し、干ばつは今年で4年目とのことだ。シリコンバレーに出張した際に駐在員と話していて、子供の日記に「冬が来た、芝生がより青くなった」と書かれているとのこと。つまり、彼の地は冬場が雨季で夏場は乾季である。ただ今年の一月は特に異常で、サンフランシスコでは降水量はゼロだったとある。シリコンバレーには何度も出張したが一度も傘を持っていったことがない。それでもたったの一度だが、ほんの数秒車の外に出ただけでびしょ濡れになる雨に遭遇したことがある。私の経験では、傘を持って歩いている人はサンフランシスコでは見たことが無かった!

このような状況から、海水の淡水化プラントの建設が進んでいるそうだ。勿論農家は地下水をくみ上げているが、地下水源の水位の低下と、地盤沈下が各地で相次いでいるとのこと。恐らく水を大量に消費する米作は作付け面積を減らしているに違いない。今こそカリフォルニアに米を輸出するときであり、それにはTPPの締結が欠かせない。我が国の高温多湿で水が豊富という自然環境を生かした農業は世界でもトップレベルになれよう。

追記:TPPと農業と医療 2015/07/21

日経:経済教室にハーバードのデール・ジョルゲンソン教授の話として「米議会でTPP交渉妥結への道が開かれた」とある。米国側から見れば、内心はTPP交渉妥結をペンディングにしておきたかったのだろう!これ以上日本や東南アジアから商品やサービスが米国に入ってきて欲しくないのだ。この類の交渉はギブアンドテイクの中和点で納まるが、米国もそろそろ妥協してTPPの舞台に踊り出ようということだ。なお、このエッセーで私の目を引いたことは、農林水産業の生産性は米国が日本の倍(*1)ということである。一方、その逆に日本の医療の生産性は米国の1.5倍である。自由競争の米国でなぜ日本より医療の価格が高いのか私には理解できない。私の友人の息子さんは米国で大学を卒業し働き始めたばかりの勤務医だったが、年収は700万円(*2)だという。そういうこともあり、米国の医療の方が我が国よりも効率がいいと思い込んでいた。これについては、何が問題なのか知りたいところである。
 *1:分かりやすいグラフで示されており、今後我が国も世界的な自由競争の中で農業が進展するだろう。私も所有する狭い農地を活用して我社の収益源としたい。無理かも知れないが!
 *2:もう10年くらい前のハワイでの話だから、今はどうだか分らない。

追記:TPPが大筋合意とのこと 2015/10/08

交渉の経緯をニュースで見ていて、もうダメかと思ったこともあったが、合意に至って良かった。日本の場合、自動車部品や薬品なども重要だが、最重要項目は最も競争力のない農産物だ。今後は、農家の自由競争を阻害してきた"第二の農地解放"につきよう。米国並みに100ヘクタール規模の農地を持つ農家が現れれば、米の値段は米国以下になり中国や東南アジアに輸出するようになることは間違いない。なぜなら水が豊かで夏が高温の我が国ほど米作に適した国は無いからだ。10年後が楽しみである。但し"第二の農地解放"が実施されればの前提だが。

我が故郷の話だが、農地の実取引は1反(*)20万円くらいからだ。勿論、宅地だとそうはいかない。しかし国道や広い道路に沿った農地はいつのまにかホームセンターやスーパーマーケットなどになっているから、農地から宅地や商用地への転換は簡単なのかも知れない。いずれにせよ便利なところは商用地となり不便なところは農地として残るのだろう。その農地は実力のある農家に集約されなければならない。
 *:330坪

追記:甘利経財相に聞く 2015/10/09

今日の日経朝刊には、TPP大筋合意(合意確定でない)について甘利大臣への聞き取りが記載されている。第一にTPPのメリットだが、国家間のビジネスに関する人物金の自由なやり取りが可能となり既存ビジネスのみならず新たなビジネス創成への期待も述べられている。次の段落は、

「東アジアは非常に不安定な地域だ。中国の覇権があり、北朝鮮があり、そういうなかに米国のプレゼンスが経済を通じて直接絡んでくる。TPPは経済の話だが、これは間接的な安全保障で地域の安定に貢献する。やがて中国も仲間に入らざるをえなくなってくる」

である。多国間自由貿易が覇権主義国の牙を抜く政策であることを述べている。人種や人口や宗教は異なれども、他国を侵害することで益を得るという覇権主義国の政策をつぶすこともTPPのメリットだと言える。私が思うにTPPは、小国にこそその特徴を生かすメリットがある。この記事の左下の段落に「中国を巻き込む努力必要」との記述もある。できる限り関税を廃し一物一価の経済政策で世界中がより公平に自由になっていけば宗教やイディオロギーや人種の違いによる殺し合いはなくなるはずだ。物資の多様化と物価の平準化により、中国やロシアは全てを自給することができなくなるのだ。この記事は甘利大臣と坂口幸裕記者との対談だが、自由主義経済の本質をつく含蓄のある内容である。

東南アジアと極東の安定を確保するためにオバマ氏と甘利氏(安倍総理)がTPPの妥結を求めたということが理解できる。いずれにせよ、我が国はTPPを締結し今後の展開を目指すべきである。東南アジアや極東が、アラビア諸国やヨーロッパのように大混乱になったら第三次大戦となり、人類は滅亡するからである!まずTPPの直接的な効果を使って、中国の牙を抜かなければならない。この意味が分かる人は少ないかもしれないが、我が国のマスコミはこれらのことを市民に分かり易く伝える義務がある。脈絡は飛ぶが、安保反対(*)が50%以上だということは、見方を変えれば潜在的に戦争を始めろというトリガーが過半ということに他ならないからだ。
 *:日米安全保障条約を破棄すれば、米軍は我が国から去る。その時に、中国やロシアの脅威に対抗するには、自前の軍隊が必要でその規模は現在の駐留米軍をはるかに超えよう。

追記:「これが最後の最後だ」より 2015/12/30

甘利経財相がTPP締結に奔走した経緯が日経朝刊に"2015決断"との表題で連載されている。つい2年前には、西村康稔内閣府副大臣がフロマン代表に「99年後なら関税をなくしてもいい」と質の悪いジョークを飛ばしていたことを思い出す。もしTPPが締結できなく今後も我が国の農業が世界の潮流に乗れないとすれば、農業は壊滅的な状況となろう。合理化集約化が進まなく、冷凍ごはん、冷凍ほうれん草などのようにあらゆる農産物が形を変えて輸入されるようになり、生鮮食料品の価格は上がるが農家の収入は上がらないというおかしなこととなる。TPP締結は、政府試算によるとGDPを14兆円増やし、80万人の雇用を生むとのこと。この数値については、少々割り引くとしてもマイナスにならないことは確実だ。むしろ我が国が得意とするハイテクや省エネを活用した大規模農業工場が出現し、輸出産業のトップとなるかも知れない。農業の明るい未来のため、為政者には引き続き"第二次農地解放"を求む。
元に戻る