「ソルジェニーツィン来日の意味-鮎川信夫1982年10月28日」

共産主義の非人間的な面は、理想主義すぎるということだと思います。それを逆手に、共産主義という錦の御旗の基に、一旦権力を握った似非共産主義者が善良な人民を苦しめてきたのがこれまでの共産国の実態でしょう。いまや全て共産主義国は崩壊しましたが、再生することはあるのでしょうか?
●「ソルジェニーツィン来日の意味-鮎川信夫1982年10月28日」を読んで 2012/12/01

我々の世代でソルジェニーツィンを知らない人は少ないと思う。その彼がはるか30年前1982年に日本を隠密旅行をした際に共産中国に対して述べた意見は、現中国をそのまま描画しているので驚いた。そして、鮎川は「・・・冬の人の忠告に耳を傾けて損はないはずである。」と述べているが、実にそのとおりになっているのである。

「彼の意見を要約すれば、次のようになる。共産主義によいとわるいの区別はない。中国を強くすることが、世界平和を保障するといった考えは間違っている。中国は四百万の軍隊を擁し、チベットを侵略し、カンボジア、マレーシアにたえず圧力をかけている。日本やアメリカから力を得たら、どうなるか。共産主義を過大評価してもいけないが、過小評価してもいけない。かれらは困ったときには西側から援助を求める。ソ連は、アメリカからマーシャル・プランの四倍もの援助を受けて、その政権を維持したのである。いったん、共産主義の穴に落ちたら、地殻の変動でもないかぎり脱出は難しい。ベトナム難民は、ソ連に送られるのを怖れてではなく、ベトナムで生活できないために故国から逃げ出すのである。中国の真実は報道されていない。あと二十五年したら、おそらく中国のソルジェニーツィンが現れて、それを明らかにするであろう。」

実に、「あと二十五年したら」という言葉は、現出した今日の中国である。つまりこの「中国のソルジェニーツィン」は、劉暁波(Liu Xiaobo)だろう。日本語読みだとリュウ・ショウハだろうか?ニュースなどでは、本人は獄中だが、奥さんまでも軟禁状態のようだ。鮎川の読みの深さを思い知らされた。なお、中国の尖閣諸島に対する挑発や現地日系企業に対する略奪・焼き討ちを見るにつけ、先ごろの漁民上陸は先遣斥候隊で、明日にも最新空母を動員して上陸作戦が行われ、沖縄本島を自国領土と主張し中国海軍が取り巻くことは決して絵空事とは思えなくなってきた。

高校3年の時、同じクラスの原井と共産主義を支持するかしないかという大論争になった。休み時間が終わり次の授業が始まっているのに、Yes/Noと互いに大声で罵り合っていたのを、数学の井口先生に「うるさい」と一括されて終わった。彼はいまだに共産主義を信奉しているのだろうか?私の場合、当時なぜ共産主義を嫌悪していたのか良く分からないが、親爺は徹底的に嫌っていた。親爺からすると、共産主義であれ、国粋主義であれ、異なる価値観を許容しない主義主張が気に入らなかったようだった。そういう意味で宗教に対しても、無宗教だった。ただ選挙の際「今回は牽制球として共産党に入れた」と言うこともあったが!ところで、私は親爺のようになりたいと思ったことは只の一度も無いが、気がつくと自由勝手主義者になっていた。そのために、会社生活ではかなり苦労した。心ある上司や同僚には本当に迷惑をかけたと後悔している。この場をかりて深くお詫び申し上げます。
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