VWのディーゼルエンジンの排気ガス問題
VWのエンジニアの誰がこのようなセコい方法を思いついたのか分かりませんが、律儀なドイツ人のイメージを完全に崩してしまいました。私の心の中では!ドイツにとっては、国家的なダメージだと思います。

●VWのディーゼルエンジンの排気ガス問題 2015/09/24

私なりの解釈を言うと、止まっている状態の排気ガスの中のNOXの濃度は問題ないが、走っている状態の濃度は基準の20〜30倍だということだ。排気ガスは空気と燃料が適切な比率で燃焼制御され、その制御はコンピュータで行っている。今回の問題を簡単に言えば、車が止まっている状態では排ガスのNOX濃度を制御し、動き出したら加速などの性能を求め汚いガスを思いっきり出していたということである。つまり現在のエンジンはコンピュータ制御が必需で、それをうまく利用したのだ。私は米国の排ガスに関する法律を理解してないが、静止時も走行時も排ガス量に比例したNOXを出すことが求められているのだろうか?

実は、これは法的に大変興味深い問題だ。例えてみれば、あたかも大学入試や入社試験のようなものだ。つまり、静止状態の試験に合格したから、動的状態でも同等のパフォーマンスを求めるということになる。その結果が出ないから退学や首だなどとは聞いたことがない。一旦受かれば、メチャクチャおかしくない限り首にはならないだろう。私は法律には全くの素人だが、VWは米国で反論訴訟をするのだろうか?厳密な検査をするならば車検における検査は、ローラー上で20Km、40Km、60Km、100kmなどと排ガス試験を求められるようになるかも知れない。そうなると車検も煩雑になり増税の理由が増えることになる。さて今回の件、VWのみならず世界中の自動車メーカーのディーゼルエンジンも同様のチェックが必要となろう?私が自動車メーカのエンジニアならば評判の高いVWのディーゼルエンジンの車載コンピュータを調べVW同様の設定をするだろう。その調査は簡単だし、自車へのそのロジックの適用は容易だからだ。恐らくこの問題の表面化は世界中の自動車メーカのエンジン技術者をパニックに落とし入れているだろう。ディーゼルエンジンのみならずガソリンエンジンまでも!

さて、VWはドイツ人特有の律儀な姿勢で自動車を製造していたと思う。もしそうならば、排ガスの基準書が「走行中の全ての状態で静止時(アイドリング時)の排ガス比率を求む」と要求していれば、絶対に起きなかった事件だ。VWにとっては非常に手痛い事件である。我が国の自動車メーカにも同様の解釈があるとすれば、これは今後もこの問題が続くこととなる。これから事態は思わぬ方向に進むかも知れない。なぜなら、ディーゼルエンジン依存比率に応じて各自動車メーカの株価が下落しているからだ。いつも株価は内部の実情を反映する。単なる私心だが。

今回の事件でVWの社長が直ちに辞任を表明したことは、VWの経営陣は「米国の排ガス基準は静止状態である」と解釈していたが、その解釈が異なっていたとの指摘に直ちに反応したということかもしれない。私はオランダとイタリアに出張したことがあるが、ヨーロッパではディーゼルエンジンの排気ガスの匂いが町中に漂っていた。正直に言えば、個人的にはヨーロッパに住むことができない程の臭さだった。できる限りきれいな排ガスのエンジンを求む。とは言えども、私自身もしばしば臭いガスを排出し、家庭内空気汚染で顰蹙を買っているが!
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