英国の交通事情

我が国もイギリスのように効率のよい社会(交通システムに関し)を目指すべきと思いますが、まだまだ我が国民は英国人に劣るということなのでしょうか?社会学者の弁をお聞きしたいところです。

英国の交通事情 2016/12/18

英国では50日間レンタカーを借りた。EUROCARというヨーロッパをカバーする会社だが、初めて利用した。この会社に決めた理由だが、この会社の事務所は私が居候していた友人(Andy)の家から最も近かったからだ。そもそも当初はイギリスに着いたら中古車を買って、帰国の際に売ろうと考えていた。「イギリスの中古車は品質が良く少々古くともボロボロの車は無い」とのことを友人のSteveから聞いていた。一方、Andyからは彼が持っている3台の車の一台を「2か月間使っていいよ」との親切なオファーをもらっていた。しかし、自動車保険に入る際に1年間の契約が必要で、なんとその価格は2000ポンド(約30万円)とのこと、仕方なくレンタカーにした。レンタカーだと最も安い車を借りると2か月間で保険込みで2000ポンドくらいになる。



 最初のレンタカーTWINGO

最初の3週間を居候させてもらったAndyの家はNewquayにあり、この家からイギリスの南西部の殆どの観光ポイントを廻った。Land's EndやPenzanceからPortsmouseまで城やら遺跡からデパートまでをうろうろしたが、英国の運転手達は紳士淑女である。とんでもない運転を見たことはないし、割り込みも経験しなかった。英国は我が国同様車は左側通行なので右側通行の米国での運転のように対向車線に突っ込んでいくようなミスは起きない。但し、ラウンドアバウト(Roundabout)はかなり難しい、もう少しで他車の横っ腹に突っ込みそうになったことが一度、周回したことは何度も、勿論目的外の道に入っていったことも数えきれない!2か月も運転していると慣れてくるが、その頃の事故が危ういそうだ。私は運よく、事故は無かった。ただ深夜のスコットランド、Peterheadだったが二台めに借りたフィアット500でスピンしてしまった。田舎道を結構なスピードで走っていたが、急に道路が曲がりその先に車一台がやっと通れる狭い橋があったのだ!舗装道路だったがなぜか砂が薄く積もっており曲がり切れなく、運よく橋の欄干のほんの1M程手前で真横になり止まった。



 次のレンタカーFIAT500

さてイギリスと日本の交通ルールの最も異なることだが、イギリスの制限速度は日本に比べて圧倒的に速い。最高速度は以下の分類となっている。

・片側2車線以上:70mile (112km)
・片側1車線:60mile (96km)
・街の中:30mile (48km)

高速道路は80マイルや90マイルで走っている車もしばしばある。交通取り締まりは瞬間速度でなく平均速度で取り締まっているようだ。もし日本式の取り締まりをすると捕捉されるドライバは多々有りそうだ!私が最初に借りた車はルノーのツインゴーという900ccの小さい車だったが、メータの最高速度90マイル(145Km)を振り切ったことがある。その時は、周りの車も私同様抜きつ抜かれつだった。勿論、片側2車線の道路をレーサー気分でなく早く着きたいということだったが!

上記の速度制限を見てどう思うかだが、私の経験によるとイギリスでは運転中にアイスクリームをパクつくことなどできない。つまり全ての道路が限界速度上限に設定されている。我が国の制限速度のような余裕は全く無く、制限速度上限で走る限り息を抜く余裕すら無い。歩道がある道路は町中でも90Kmで走るのだから、私も最初は皆さんについていくのがやっとだった。だが、そのうち慣れてしまったが。今回の経験を通じてイギリスと我が国のどちらが交通事故が多いかなど、高度な分析を行い我が国にふさわしい制限速度を決めるべきと思った。英国は、単に事故が多いから速度を制限するというより、できる限り速いスピードで道路の輻輳を避け、さらに運転手と歩行者の双方に注意を促すということだろう。国民性の違いというよりも経済学と心理学を交通工学に導入しているかどうかということだと思う。このような違いは英国に行くまでは全く気付かなかった!これこそが典型的な英国と日本の違いであり、英国流合理主義かも知れない。恐らく英国人は当然と思っているだろうが。
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