ターナーと英国の風景

ターナー?聞いたことがないという方は、何の興味もわかない内容でしょうが、子供の頃から絵が大好きだった私には少々感じることがあったので書き留めました。
●ターナーと英国の風景 2017/2/11

子供の頃から絵が好きで、図画工作はいつも成績が良かった。小学校の絵の時間は殆ど夢見心地で水彩画を描いていたような気がする。時々粘土をいじったり、貼り絵をしたり、折り紙を折ったような気もするが!さて、ターナーは1800年代を代表する英国の有名な風景画家だが、そう言われてもその絵を思い出せない人は面白くもおかしくもない話になる。しかし、ターナーの絵を一度でも見たことのある人はその風景に次のように感じないだろうか。雲や樹木がやけに誇張され、まるで暴風雨が来る直前の空の下、曲がりくねった松の木の近くで農夫が牛を曳く、というようなものだ。



 イギリスの風景(ターナーではないが!)

英国に来て、実はターナーの絵には何の誇張も無いことが分かった。むしろ写実的で英国は空も樹木もターナーの絵そのものだ。英国中を廻ったが、今にも嵐が来そうな、我が国の台風直前のような空模様に頻繁に遭遇した。しかし単に雲が流れていくだけで、何事もなかったかのように晴天になったりもする。一方植生もイギリス固有でターナーの絵に描かれた広葉樹や針葉樹が繁茂している。地形が少し谷になり、水の豊かな処では草も樹木も豊富で、ターナーの絵のように今も人々が散歩などを楽しんでいる。


 イギリスの風景(ターナーではないが!)

絵画の授業で先生から印象的な部分を誇張して描けとか、デフォルメせよとか、基本は写術だなどと教わったような気がするが、中世から近世のヨーロッパの絵画は写術が主流だったようだ。ルノアールにしても遠目にみれば光を誇張した写術とも言えよう。ものによっては写真のように細密に描かれた絵もあり、行った先々で博物館や絵画館を訪れたが全く退屈しなかった。なお英国では博物館に絵画も所蔵され宝物館のようなところが多い。有名な大英博物館は、ロゼッタストーンや金銀財宝から絵画までイギリスの黄金期に世界中の富をかき集めたことが伺われる。暇だったので十月と十一月のロンドン滞在中に二度訪れた。



 イギリスの風景(ターナーかも?) 絵画好きと言いながら、よく覚えてないことを恥じる。

さて、ターナーの活躍した時代は大英帝国最盛期だったが、今回のBrexitで再びイギリスの挑戦が始まるのか?円は国際通貨としての地位を保っているが、海外に出ると円よりもポンドの方が重宝がられる。現時点でポンドは円よりもはるかに強味があるが、その距離を離されることのないよう我々も頑張らなければならない。"ゆりかごから墓場まで"の国を追い越せないにせよ、その背中が見える範囲に捉えておきたいものである。ただ私達団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年を踏まえると、現状の無策が続けば我が国は未曾有の事態となる。ターナーの絵とは何の相関もない、なさけない話になってしまった。
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