LouiseとKidnapped

イギリスではスチーブンソンはもはや古典なのでしょうか?私が子供の頃は"宝島"という冒険小説で我が国では最も有名なイギリス人小説家の一人だったのですが!
●LouiseとKidnapped 2017/2/14

イギリスに来て、両手に余る人になぜイギリスなのかと聞かれた。確かに、フランスでもドイツでもいいだろう。イギリスに来た理由の一つは、子供の頃に読んだ小説にある。中学一年生の夏休み親父が丸善から取り寄せてくれた小説"Kidnapped"だ。まだ英語を習い始めて半年しか経たない状態で、辞書とくびっききになりながら読んだ。今でもこの本は私の宝物として大切に取ってある。さて彼らからイギリス訪問の理由を聞かれ「子供の頃に"Kidnapped"を読んで」と言ってもこの小説を知らない人が全てだった。邦訳も出てないようで、恐らく普通の日本人は誰も知らないだろう。



 Kidnapped、さすがに50年以上前のペーパーバックス、疲れている

ある日、私が居候していた家にAndyのガールフレンドLouiseが遊びにきた。彼女は私が居候していたニューキーから車で2時間以上かかるペンザーンスという町に住み、仕事もそこにあるのでAndyの家に来たり、Andyが行ったりしていた。その彼女に"Kidnapped"と言ったら、読んだことがあると言う。それを契機に互いのプライベートも含め色々と語り合ったが、何かの脈絡でアインシュタインのe=mc2(*1)の話となり彼女は数学と物理学が好きだと言った!大学を出て最初の職として、航空管制官を15年やったそうだ。勿論そういう職業だから物理と数学の高いレベルを要求される。私は社会に出てからも必要に迫られ"ファインマンの物理学"で勉強し直したが完全理解には程遠い旨を彼女に言ったところ、イギリスの物理学者"Brian Cox"の書が最も分かりやすいとのこと。勿論私は全く知らない物理学者だったが!
*1:階乗はテキストで表示できないのでこれで御勘弁。



 LouiseとAndy(Andyの身長は190cm)

グーグルでサーチすると大勢のBrian Coxが出現するが、"物理学者"とANDを取ればよい。彼が大学で講義するビデオがWebに掲載されているが、ある程度英語ができる人はe=mc2の講義を見る価値はある。例のイギリス訛りは全くなく、非常に聞きやすい英語だ。固定カメラのアングルが悪く、顔がカットされているが!なお、Brian Coxのウエブサイトは http://www.apolloschildren.com/ である。ちょっと覗いたが、さすがに多芸多才の超多忙人、天才とはこういうものだと理解できよう。我が国ではファインマンやコックスのような人を見たことがないが、どこかにいるのだろうか?なにしろ彼が若い頃は全英トップチャートで一位になったグループでキーボードを弾いていたというのだから。蛇足だが、グラスゴーで博物館巡りをしていて、たまたまグラスゴー大学の講義を覗いたことがあるが、階段教室でこのビデオと全く同様だった!



 Louiseが書いてくれた私の旅日記の表紙(元はAndyのWorkBookだった!)

Louiseと私が夢中になって上記の話をしていると、夕食の準備をしていたAndyが数学の話がそんなに面白いのかと驚いていた。Andyは大卒のインテリだが純粋の文系で、込み入ったロジックは好きじゃないようだ。しかるにLouiseとは正反対の気質だからかえって二人は気が合うのだろう。もっともLouiseは背の高いグラマラスな美人で教養豊かとくれば、Andyが彼女を気に入らない訳がない!少々脈絡はずれたが。



 Kidnappedを開いてみるとありとあらゆる単語を辞書で調べていた!

さてイギリスから帰国してかなり経つが、まだCox先生の本を読んでない。しかるに彼女とのFaceBookでの会話における話題には挙げてない。果たしてこの本は市立図書館にあるのか?ファインマン先生の説明でもバカな私には理解できないのに、Cox先生のだと分かるのか?いずれにせよ、成り行き上いつかは読まなければならない。ファインマンもCoxも天才で、かつ教える能力が他の学者に比して非常に高いという特質を持っている。この二人は、天才がサービス精神を持つとこうなるという典型例で、彼らの物理学の本は全世界の理系学生のベストセラーになっている。なお、私には天才が記述した学術書を評価できるような資格も能力もない。
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