日経の夕刊 再び「明日への話題」から

ドイツ語は遠い昔の想いでになりましたが、呪文のように覚えたものは残るのですね。ただ、全く役立ってませんが!
●日経の夕刊 再び「明日への話題」から 2013/05/01
元金融庁長官佐藤隆文氏のエッセーに、再びバッハの「平均律クラビア曲集」が表題となった。ドイツ語では"Das Wohltemperierte Klavier"とのこと。私はこの表題の単語の意味として冠詞のDasしか知らなかった!"das des dem das"という大学一年の時に習った中性名詞の冠詞の変化を今でも忘れようにも忘れられないのだが!そうか、楽曲は"中性名詞"なのかと知った次第である。Klavierは鍵盤楽器とのことだ。英語ではピアノとかキーボードと言うが、音感が全く違うのでこれらはラテン系言語がオリジンかも知れない。まあどうでも良いことだが。

今の私にはドイツ語で会話することは困難だが、もしドイツに三ヶ月も住めば往時のレベルに戻るかも知れない。但し、私がこれまでに会った十数人のドイツ人で私よりも英語が下手だった人は皆無だ。ドイツ人にとって英語はドイツ語の亜種のようなものだから習得は楽なのだろう。もう十数年前になるが、運輸省の外郭団体に出向していたことがある。その団体は神谷町にあり、近くにはドイツ銀行があった。恐らくドイツ銀行に付随すると思われるビールバーがすぐ近くにあって、流暢なドイツ語を喋る運輸官僚だった理事長はそこが行きつけのようだった。ごくまれに皆で飲んだ後に、二次会にと言って私を連れて行ってくださった。理事長の隠れ家のような飲み屋で、看板が無く、妙に高級で巨大なガラス張りのドアでガードし、中には美人で妙齢の高級ホステスが構えていそうで、メチャクチャ高そうな雰囲気を醸し出し"酔っ払いは絶対に入ってくるな!"と叫んでいた。しかし中に入るとさして広くない店に立ち飲みのカウンターがドンとあり、値段も安くドイツ人の男性客のみでドイツ語しか聞こえてこないのだ。我々が入っていっても、理事長と一緒だったからかごく普通の対応でゆっくりとドイツのビールバーの雰囲気を楽しめた。勿論、ホステスがビールを注いでくれる訳でもなく、ビールジョッキを運ぶ日本人の若いウェイターしかいなかった。理事長は時々ここに一人で来て、ドイツ語会話の練習をされているようだった。

少々話題がずれたので本論に戻るが、このエッセーでは「平均律クラビア曲集」の英名についても述べており、"The Well-Tempered Clavier"とのこと。私にはTemperedとは"焼きを入れる"(本当は焼き戻しとのこと!)という意味だと思っていた。Temptationsという4人組の音楽グループもいたように思う。なお、一般的にはtemperedとは"気立ての良い"とのこと!なんと私は逆の意味として覚えていたのだった。訳としては、バッハさんの意図するところは、"平均律"である。いずれにせよ、佐藤氏のエッセーによると、バッハの時代にピアノの登場が「表現の幅を格段に広げ鍵盤作品に新しい命を吹き込んだ」とある。

「その確信はアンジェラ・ヒューイットによる”平均律”の全演奏・・・」とのことから、私も全てを聴いたが、第8番になると、不協和音が多いのが気になる。これが「バッハが意図した微妙な陰影づけ・・・」なのだろうか?第9番になると、さらに低音の不協和音が多くなり「オヤ!」と感じた。13番の時点では少々元に戻って安定感も出てくるが、それでも私には音階が低すぎて楽しくない。酔っ払ったついでに久々にインベンションも聴いてみたが、その時の私はなぜか明日も聴きたいとは思わなかった。但し、明日のことは誰にも分からないが!
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